2010年2月11日(木) 東奥日報 社説



■ 国は財政支援策打ち出せ/並行在来線

 首都圏と本県を結ぶ東北新幹線新青森駅開業が12月に迫る。一方で、並行在来線のJR東日本からの経営分離という難題が本県に重くのしかかっている。

 新たな経営主体は県や沿線市町村などが出資する第三セクター・青い森鉄道株式会社(本社・八戸市)。運行事業自体は青い森鉄道が担い、線路や駅舎、ホームなどの鉄道資産の保守点検・管理は県が実施する、「上下分離方式」と呼ばれる仕組みで運営される。

 現在、県境の目時(三戸町)―八戸間(25・9キロ)で運行中だが、新青森駅開業と同時に東北線八戸―青森間が編入され延伸、総距離は121・9キロとなる。

 大きなリスク要因は、財政問題だ。そもそも青い森鉄道の経営は厳しく、目時―八戸間では、本来、同社が県に支払うはずの線路使用料は免除され、県が一般財源を投入してきた。

 が、青い森鉄道の青森延伸では、運行を維持するための県の財政支援(繰入額)は、年額で約16億円に膨れあがるという。

 加えて旅客だけではなく、より重量のある貨物列車も走行するため、鉄路の維持管理費は膨張し財政を圧迫するのは確実だ。自治体の負担に大きく依存した経営は成り立たなくなるのではとの懸念は切実だ。

 国には、並行在来線の維持運営について県や市町村を財政支援する制度やシステムを待ったなしでつくり上げることを求めたい。

 一方、貨物にとり路線は生命線だ。二酸化炭素削減など環境面からも価値があるといわれる。国とともに受益者のJR貨物なども一層の支援の在り方を検討してほしい。

 並行在来線は通勤・通学やお年寄りら地域の足であり、住民にとってなくてはならない路線だ。そこを走行する貨物列車は、1日40本に上る。列島の物流、ひいては日本経済の根幹を担う交通手段といえる。

 その意味で、経営維持のすべてを地方に丸投げすることがあってはならない。

 9日に開かれた国の政務官レベルによる新幹線問題調整会議で三村申吾知事は「現行の仕組みでは本県の財政事情からみて、並行在来線の路線、貨物走行の維持は不可能」と主張し、線路使用料の引き上げと在来線の初期投資や維持経費への国の財政支援を求めた。

 既に昨年12月、前原誠司国交相はJRにも支援要請する意向を示し、資金面を含めさまざまな可能性を探る考えを示しているが、国は実態を直視し、あらゆる角度から並行在来線対策を練り、支援策を打ち出すべきだ。県もさらに対策を探っていく必要がある。

 青い森鉄道をめぐって県は既に、目時―青森間の将来需要予測で開業10年後の1日当たりの乗客数は開業初年度予想の1万1546人に比べ約2割減、30年後は4割減とはじいている。

 同社の収支は2008年度まで4期連続の赤字という状況だ。そうした中、新幹線と引き換えになる並行在来線をどう維持し、地域振興に生かしていくのか。

 新幹線の新青森駅開業という希望を迎える中で、並行在来線が没することがあってはならない。国、JR、自治体は、新幹線と並行在来線の両立に最大限の知恵を絞らねばならない。


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