2010年2月10日(水) 東奥日報 社説



■ 顧客目線で考えていたら/トヨタリコール問題

 トヨタ自動車が、主力ハイブリッド車の新型「プリウス」など4車種のリコール(無料の回収・修理)を国土交通省に届け出た。

 プリウスに、凍結路面などでブレーキが利きにくくなるといった不具合があることが分かったため。大丈夫だろうか、と心配しながらプリウスを冬道運転している県民もいよう。トヨタは、県内でも10日から本格化させる改修で、安心して乗れるようにしてほしい。

 トヨタ車問題では昨年11月、米国で「カムリ」などのアクセルペダルやフロアマットが改修された。これは自主的な措置だが、今年1月には「カローラ」などのアクセルペダルの不具合について、法的措置であるリコールが欧米や中国などで行われている。

 見過ごせないのは、安全の確保に一番大事なアクセル、ブレーキという根幹の問題が相次いで表面化したことと、改修対象が今回を含めて世界で700万台超と多いこと。トヨタが昨年世界で販売した台数の698万台を上回っている。

 品質の高さと安全性を誇る日本のモノづくりを象徴し、世界一の自動車メーカーでもあるトヨタの問題だけに、衝撃が大きい。

 ところが、トヨタには、こうした問題を顧客の目線で考えていたら、と思わせる対応が目立つ。前原誠司国交相も「ユーザーの視点が欠如している」と厳しく指摘している。

 アクセルペダル関連の苦情は米では3年前からあったが、トヨタがリコールに踏み切ったのは米の運輸安全当局に求められてから。後手に回った形だ。

 プリウスのブレーキには昨年秋から国内で苦情があり、今年1月末から生産段階で改善していたのに、公表していなかった。事故につながりかねないブレーキの利きにくさについても、当初はドライバーの「感覚の問題」とし、欠陥とは認めていなかった。

 こうした対応が、顧客第一の姿勢とは遠く、事態の深刻さを誠実に受け止めようとしていない、と批判される要因になっている。

 世界初の量産ハイブリッド乗用車として登場し、今が3代目のプリウスは、二酸化炭素排出量が少なく、エコカーとして人気だ。昨年は国内の年間新車販売台数で1位になっている。

 トヨタにしても、プリウスは環境対応の最新技術を投入した切り札として、また世界的な景気悪化で落ちている業績の回復を図るのにも欠かせない。その主力カーのリコールは、世界戦略の上で痛手だろう。

 しかも、安全性が疑われる性能の問題、対応のまずさや遅さが露呈したことでトヨタブランド全体までも大きく傷つきかねない。

 今回の問題には、違う車種でも共通の部品を使うようにして生産コストを減らし、国際競争力を高めようという経営戦略があり、それが、一つでも部品に欠陥があるとリコールの大規模化につながる背景になっているという指摘もある。

 コスト削減による効率化と、安全性や品質の確保を追求するとともに「顧客第一を最優先にする」(豊田章男社長)。トヨタはそれを実績で示し、せっかく築きながら、損ないかけている顧客の信頼を取り戻す道を地道に走ってもらいたい。


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