| 2010年2月5日(金) |
小沢一郎・民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる収支報告書虚偽記入事件で、東京地検特捜部は政治資金規正法違反の疑いで告発されていた小沢氏を嫌疑不十分で不起訴処分にした。 一方、元私設秘書で衆院議員石川知裕容疑者(36)、会計責任者だった公設第1秘書の大久保隆規容疑者(46)、元私設秘書池田光智容疑者(32)の3人を起訴した。 政権交代を挟み続いた検察と政界の実力者である小沢氏の攻防は不起訴で事実上終息した。上級庁との協議による処分は、検察が有罪判決を得るという確信を持てなかったことによる。 最終判断ではさまざまな意見が出たようだが、結果からは、検察が立証に向け公判維持できるだけの供述と、それを裏付け信用性を担保する精度の高い客観証拠を発見、獲得できなかったといわざるを得ない。 今回の事件で問われたものは、一体何だったのか。 通常国会が開会する直前の強制捜査だった。社会を騒がせた事件であり、処分に当たって検察は、可能な限り事件について情報を公にし、より説明責任を果たすべきではなかったか。 一方、土地取引での巨額資金の流れは複雑で不可解だ。約20億円の資金流動には多くの不自然な点もあり、市民感覚や社会通念から違和感がある。その意味でも小沢氏が説明を尽くしたとはいえない。巨額な資金操作は秘書の行為−もなお説得力は不十分だろう。 側近3人が起訴された上、公党の大幹部である幹事長にかけられた嫌疑だった。小沢氏は幹事長を続投するが、法的責任はなくとも、政治家としての道義的責任は残ったといえる。 事件の焦点は、虚偽記入(共謀)の明確な認識と4億円の購入原資は何か、その出所だった。 しかし、石川被告らは「収支総額や残高は小沢氏に報告し了承を得た」と供述したが、了承以上の「指示」等の積極的関与を示す供述や証拠はなかった。共謀に必要な「小沢氏の意志の立証」は困難となった。 さらに検察は、土地購入に使った簿外の原資4億円に水谷建設からの5千万円に上る裏献金が入っており、その事実を隠すため金融機関からの融資4億円で購入したとする虚偽記入が行われた−とのシナリオを描いていた。 が、水谷建設幹部から臨場感ある具体的供述を得たとされるが、3人は一貫して否認、小沢氏も聴取に「個人献金であり事実無根」と主張した。検察はこの供述を覆すだけの挙証材料を見いだせなかったといえる。 特捜部長は「4億円の原資や虚偽記入の動機は公判で示す」と発言しており、注目はされるが、秘書団の盾と小沢氏の全面否定の前に、シナリオは崩れた。 西松事件からの1年に及ぶ捜査は公正に行われたろうが、二大政党の政治対立の中で、一部から恣意(しい)的な捜査との批判も飛び、検察権力は極めて大きな政治的影響を与えた。 一方、自民長期政権による利権構図やしがらみを断ち切ると、改革を叫び政権を獲得した民主だが、「政治とカネ」の古い体質を露呈した。政治不信を募らせた民主の責任は重い。 |