2010年2月4日(木) 東奥日報 社説



■ 財源も示す必要がある/子育てビジョン

 総務省が発表した人口推計(昨年4月1日現在)によると、15歳未満の子どもの数は1714万人で、過去最少を更新した。28年連続の減少で、総人口に占める割合は13.4%と35年連続して低下。世界でも最低水準となっている。

 一方、内閣府が昨年の暮れに公表した世論調査によると、「結婚しても必ずしも子どもを持つ必要はないか」との質問に42.8%もの人が賛成と答えている。2年前の調査に比べて6.0ポイント増え、こちらも過去最高を記録した。

 年代・性別にみると、賛成が最も多いのは20代女性の68.2%、30代女性が61.4%。次いで20代と30代の男性が、ともに約56%となっている。

 20代や30代の6〜7割にも上る人々が、子どもを持てないか持ちたくないと考える環境にあるのだろうか。実に残念なことだ。あるいは、「少子化の時代」という意識が、若い世代に広がっていることを反映しているのかもしれない。

 政府は少子化対策の新たな指針となる「子ども・子育てビジョン」を先週、閣議決定した。

 少子化社会対策基本法に基づいて、5年ぶりに見直したビジョンは「子どもの笑顔があふれる社会のために」とうたい、大幅な保育サービス拡充などを掲げている。

 2014年度までの5年間に認可保育所などの定員を26万人増やし241万人にするなど、施策の数値目標を示している。

 政府は、ビジョンを実現するためには14年度で年間約7千億円の経費が必要だと試算している。しかし、具体的な財源には触れてはいない。それだと、施策の実効性を確保したとは言い難いのではないか。

 目指すべき社会として、「妊娠、出産、子育ての希望が実現できる社会」など4本の柱、12の主要政策を盛り込んだビジョンがお題目に終わらないために、財源もきちんと提示する必要がある。

 少子化の進行に歯止めがかからない背景には、子育てに伴う経済的負担の大きさのほか、仕事との両立の困難さ、育児不安の増大などさまざまな要因があるといわれている。

 先の調査では、子どもができても女性はずっと職業を続ける方がいいと半数近くの人が思っている。さらに、子どもができたらいったん辞め、大きくなったら再び職業を持つ方がいいと3割の人が考えている。

 出産を機に仕事を辞める必要はない、との考えが一般的になった。理想的な子どもの数と実際に持つ子どもの数のギャップの理由で一番多いのは、子育てや教育にお金が掛かりすぎるからとの調査もある。

 ビジョンが言うように子どもと子育てを応援することは「未来への投資」だ。子ども手当の創設は家計への直接支援として国民に歓迎されているようだが、保育所整備や妊娠・出産への支援体制の確保、女性の継続就業支援など多角的な施策が求められる。

 共働きにもかかわらず、子育ての負担が女性にのしかかっている側面もある。長時間労働の抑制、年次有給休暇や男性の育児休暇の取得促進など企業、男性の意識改革も大切であろう。


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