2010年2月1日(月) 東奥日報 社説



■ 広域捜査で犯人の逮捕を/偽1万円札事件

 青森市内で起きた偽造一万円札事件は、その後、八戸市でも同じ記番号の偽札を確認、岩手、宮城、福島など東北地方で使用されていたことが分かった。

 本県は十数枚、東北全体で数十枚に及ぶという。犯行日時は現段階で青森市の酒販店で見つかった1月26日前後に集中している。

 報道によると、偽一万円札は記番号が「HT794921S」。紙はやや厚く赤みがかっており、触るとやや違和感がある。

 さらに、福沢諭吉の透かしがない。表の左下にある偽造防止用の「ホログラム」と呼ばれる光沢部分はのりで張られ、本物まがいに手が込んでいるという。

 既に県警をはじめ、東北の各県警が捜査に入っているが、県境を越えた広域捜査の連携強化によって犯人や犯行グループを摘発、事件を解決する必要がある。

 「通貨偽造罪」は、行使の目的で貨幣や紙幣、銀行券を偽造する犯罪であり、刑法第148条で「無期または3年以上の懲役に処する」とされる重罪だ。

 偽紙幣や通貨が出回れば経済活動の停滞を招き、ひいては国の信用を落とすことにつながるとして、国際的にも金額にかかわらず重い罰が適用されている。

 今回の事件は東北を北上する形で各県で発生した。

 青森市ではJR青森駅前の新町通りから東方向へ、そして国道4号沿いで集中的に起きた。防犯カメラのない小売りを中心とする商店などが狙われており、地域は不安を感じている。

 青森市花園2丁目の酒販店で起きた事件では、店員の証言で犯人の男は年齢20〜30歳代とされ、身長やや高め。黒の上着にジーンズでマスク姿。被害に遭った新町の商店主も黒ジャンパーとマスクでは一致する。

 青森の事件は同一犯の可能性もあろうが、断定できない。酒販店から焼き鳥店に入った男が釣り銭とみられる千円札の詰まったバッグ等を置き忘れた。遺留品は犯人特定への有力な証拠であり、徹底捜査を望む。

 本県関連の偽札事件では、1990年に下北、県南、岩手で400枚以上の変造千円札を使った自販機荒らしで、県警は八戸の男を窃盗容疑で逮捕。2004年暮れ、青みがかった偽旧一万円札の偽造事件が八戸市や山形、秋田、岩手県の商店で発生。山形県警が弘前市の男を逮捕。05年1月に本県警が旧一万円札の通貨偽造と行使容疑で八戸の男2人を逮捕している。

 国内外でも偽造一万円札密輸や偽札事件があった。

 今回の事件で新町商店街振興組合は自衛のため加盟106店舗にチラシで注意を促した。福沢諭吉の透かしの有無や、のり付けのホログラムが本物と偽札を見分ける手段となるはずだ。

 一方、事件について県警は「個別事案であり、答えられない」として公表していない。捜査の傍ら防犯は極めて重要だ。住民の自衛にのみ任せている姿は、不十分といわざるを得ない。

 広域的偽札事件であり、対応は警察庁の指示などにより行われていよう。警察庁と東北各県警は捜査強化の一方で、被害拡大を未然防止する観点から、できる限り情報を公開すべきだ。

 警戒を必要とする出来事を公にし、注意すべきを伝えていくことも求めたい。


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