| 2010年1月28日(木) |
春闘といえば、かつては賃上げをめぐって労使が激しい攻防を繰り広げたものだ。だが、今年は様変わりするかもしれない。 連合は賃金水準全体を底上げするベースアップ(ベア)の統一要求を見送り、年齢に応じて自動的に本給が増える定期昇給の維持・確保に絞っている。 さらに、最低賃金の引き上げや労働者派遣法の改正など非正規労働者の待遇改善を重点課題として打ち出しているのが、2010年春闘の特徴だ。 一方、日本経団連は今春闘に臨む指針となる「経営労働政策委員会報告」で、デフレなど厳しい経営環境を踏まえ、定昇の凍結などを検討する方針を示すとともに、雇用確保に向けた企業努力を昨年以上に強く求めている。 御手洗冨士夫会長は、26日の古賀伸明・連合会長とのトップ会談で「日本経済の危機は過去のいかなる経験を上回る厳しさ」との認識を表明。企業の存続と発展、従業員の雇用の安定が最重要であると力説した。 厳しい景気動向と雇用情勢の下では、企業によっては定期昇給の凍結など実質的な賃下げもあり得るとの判断のようだ。 連合は昨春闘で8年ぶりにベアを統一要求に掲げたが、世界同時不況による経営環境の悪化などからゼロ回答が続出、完敗した。景気動向を無視した春闘はあり得ない。連合が今回、方針転換したのは当然だ。 不況対策で企業は派遣労働者など非正規社員のリストラを進めた。正社員の削減に乗りだした企業も多かった。企業が人件費を切り詰め、雇用者所得の改善が望めない。個人消費は回復しない。今春闘もそうした厳しい状況下にある。 賃上げが多くを望めない中で、労使とも「人材の確保・定着」の重要性を再認識すべきではなかろうか。人材こそが企業の競争力の源泉だからだ。 それぞれの職場には正社員のほかに、派遣やパートなど非正規社員もいるはずだ。経営者と労組は正社員だけでなく、こうした未組織労働者の処遇改善を真剣に図るときである。 連合青森は今月初めの春闘第1回闘争委員会で基本方針を決めている。賃上げの平均要求額は、5200円以上である。要求の内訳は定期昇給相当分が4200円、格差是正・賃金改善分が千円となっている。 景気が依然として低迷していることからベア要求を見送り、定期昇給分だけは確保しようと「最低限ライン」の要求になったとみられる。昨年の8400円に比べ大幅なダウンだ。方針には非正規労働者の処遇改善、雇用の安定創出なども盛り込んでいる。 県経営者協会のまとめによると、昨年の県内の春季賃金交渉の結果は平均妥結額が2060円、賃上げ率は0.84%。1969年の調査開始以来、最低の数値だった。企業の経営体力が落ち込み、雇用の確保を最優先する企業が多かったのが理由だ。 地方経済の先行きがなお不透明で、賃上げは厳しいだろう。非正規労働者の待遇改善のほか、新卒者の採用を含めた持続的な雇用をどうするのか。県内の労使が協調し、知恵を絞る必要がある。 |