| 2009年12月30日(水) |
黒石市にある幸成保育園は社会福祉法人・幸成会、青森市にある青森文化幼稚園は学校法人・小館学園がそれぞれ運営している。二つの法人のトップは福士富美子理事長が務める。 県が一般監査や特別監査などをしたら、幸成保育園に通っていない園児を実際は青森文化幼稚園で預かっているのに、幸成会は書類上は幸成保育園が受け入れていると装っている疑いなどが分かってきた。 遠距離通勤している保護者らのため、住んでいる市町村ではなく勤務地の近くに子どもを預けることができる広域入所保育制度にかかわる疑惑である。 保育園は家庭で保育が難しい乳幼児を受け入れる施設で、幼稚園は就学前の幼児の教育施設。施設の性格や、保育園は厚生労働省、幼稚園は文部科学省と所管も違うが、どちらにも国や自治体から補助金が出ている。補助金不正受給の疑いも持たれている。 県の担当課は、幸成会が偽装していたと判断し、理事長らの処分を求めるなどの改善勧告をした。 県の別の担当課は、小館学園が園児数を水増しし、補助金を不正受給した疑いで水増し分の返還請求通知を出した。近く、理事長らを詐欺罪で刑事告訴することにもしている。 広域入所保育や園児水増しの疑惑が事実なら、公金を正しく使って預かった子どもを保育・教育すべき組織にあるまじき行為だ。 理事長らは、県に対し疑惑を否定しているものの、詳しく説明していないようだ。だが、この問題には、ほかの施設関係者や施設に子どもを預けている保護者も無関心でいられないだろう。公的役割を担っている立場として誠実に対応する責任を果たすべきだ。 理事長がかかわる法人や施設をめぐり、ほかの問題も指摘されている。 幸成会が田舎館村で運営する光田寺保育園の副園長と、青森文化幼稚園の園長という常勤が必要なポストを、理事長の次男が兼任していた。県はどちらかは勤務実態がなかった疑いがあるとみている。 幸成会は、理事会や評議員会を適正に開催していないなど法人運営に欠陥があるとして、県は改善するよう行政指導もしている。 青森文化幼稚園の園児の数を2008年度6人、09年度は5人を水増しして補助金を不正受給した疑惑に絡んでは、児童福祉施設としての最低基準を満たさず、3歳児未満は通うことができない幼稚園で預かっていたことになり、十分な保育ができていたのかという問題にもなる。 県内でも少子化で子どもの数が減り続けている。公立、私立を問わず保育園や幼稚園の経営は厳しくなっている。行政は財政難もあって公立施設の廃止、統廃合に動いている。幼稚園が一つもない自治体も少なくなく、共働きが増えていることから、遠くの施設に子どもを通わせる必要性も高まっているという。 それらと今回の疑惑に関連が仮にあっても不正は許されない。ただ、問題の根は深いかもしれない。法人は疑惑が本当なら、県の改善勧告などにきちんと向き合うとともに、どんな事情でルールを守らなかったのかも説明すべきでないか。 |