2009年12月25日(金) 東奥日報 社説



■ 首相の政治的責任は重い/偽装献金起訴

 鳩山由紀夫首相の資金管理団体「友愛政経懇話会」をめぐる偽装献金問題で、東京地検特捜部は首相の元秘書らの刑事処分に踏み切った。

 政治資金規正法違反の罪で、同懇話会の経理を担当していた元公設第1秘書を在宅起訴。会計責任者だった元政策秘書を略式起訴にした。上申書を提出していた首相本人は、嫌疑不十分で不起訴処分となった。刑事責任は追及されることなく捜査は終結する方向だ。

 しかし、首相自身は本当に偽装への認識はなかったのか。疑念は晴れない。

 これまで首相は「会計は元秘書に一任しており、献金の偽装には気付かなかった」と説明してきた。上申書も同様の内容だったとされる。起訴を受け、首相は会見で謝罪した上で、「政治資金の処理はすべて安心して(元秘書に)任せてきた」と同様の説明を繰り返し、今後も政権を担う決意を強調した。

 立件額は約4億円に上るという。資金管理団体の責任者として、なぜ巨額の偽装を見抜けなかったのか。何に使われたのか。具体的な説明はなかった。国民は納得できただろうか。

 首相は「一人の国会議員」として会見に臨んだが、政治資金管理の甘さや監督不行き届きだけでは済まされない。国政の最高責任者の元公設秘書が刑事責任を問われた事実は揺るがない。首相としての政治的、道義的責任は極めて重い。

 首相の資金問題は今年6月、政治資金収支報告書に架空名義の寄付が記載されていたことから発覚した。

 偽装の原資には、首相や首相の実母から提供された資金の一部が充てられた。実母からの資金は、贈与として2002年までさかのぼって修正申告する。対象額は12億6千万円という。

 首相は会見で、実母からの資金提供も「承知していなかった」と述べた。だが親からの巨額な資金に気付かないというのはあまりに不自然だ。恵まれた家系とはいえ、首相の金銭感覚にあらためて驚かされる。

 首相は野党時代に、秘書の問題は政治家の問題−として、政府・与党側を追及してきた。しかし、会見では「私腹を肥やしたり、不正な利得を得たものではないと確信している」と述べ、「今回の事象は違う」と釈明した。

 加藤紘一・元自民党幹事長の元秘書による脱税事件などで「金庫番として働いた元秘書が罪を問われるなら政治家も共同正犯だ」と明言したのは、首相だったはずだ。整合性が取れない主張が国民の理解を得られるとは思えない。

 与野党問わず、「政治とカネ」の問題は後を絶たない。先の西松建設事件では自民党の二階俊博・前経済産業相の政策秘書が略式起訴され、民主党の小沢一郎幹事長の公設秘書は公判中だ。

 さらに小沢氏の秘書を務めた石川知裕衆院議員について、資金管理団体の土地取引に絡む不記載の疑いで特捜部が捜査していることも表面化した。

 政治資金の透明性確保について、首相は「二度と起きないように仕組みを作り上げる」と会見で表明した。政治家本人の責任が問われるような、抜本的な改革を求めたい。


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