2009年12月23日(水) 東奥日報 社説



■ 税制改正大綱決定/“合格点”はあげられない

 経済、社会の動きに応じて税金のあり方を方向付ける税制改正大綱は、国の政策や私たちの暮らしに深くかかわる。大綱が決まらないと2010年度の税収見通しが固まらず、10年度予算案の編成もずれる。

 鳩山政権が初めて大綱を閣議決定した。だが、当初の予定から10日以上遅れた点も含め、“合格点”をあげるわけにいかない。

 民主党が先の衆院選で政権公約の柱として掲げた政策を変え、国民生活を直接支援するという政権交代の理念からもずれている。閣議決定に至る経過が国民によく分からない、そうした問題もあるからだ。

 不況のため、10年度の税収が急減する見通しになり苦心した跡はうかがえる。だが、財源確保策として行った事業仕分けでは7千億円弱しか無駄を見つけることができず、特定業界への“隠れ補助金”ともされる租税特別措置への切り込みも不十分に終わった。

 首相は財政規律を守るため、10年度の国債発行額を本年度並みの44兆円に抑えるとした。これも結果的に財源探しの手足を縛った。

 財源難のあおりで、ガソリンにかかる揮発油税などについて本来の税額より上乗せしている暫定税率を廃止するとした政権公約を覆し、当分は現行の税率を実質維持するとした。

 廃止によって国と地方合わせて約2兆5千億円を減税し、ガソリン代を下げるという公約通りだと、その分の税収を失う国、地方の財源難が深刻になる。

 県など地方自治体は、大幅な税収減が避けられるとしてホッとしているようだが、ガソリンの大幅値下げを期待していた人や業界にすれば約束違反と映る。

 暫定税率廃止に代わる地球温暖化対策税(環境税)の創設や、中小企業の法人税率引き下げも見送られている。これらも政権公約だが、守られなかった。

 税負担を軽くする所得税と住民税扶養控除については、一部廃止・縮減すると決めた。これに伴う“増税分”は、10年度に創設される子ども手当の支給と引き換えとなり、家計の可処分所得は増えそうだ。

 ただ、たばこの税率が上がり、ひと箱だと100円程度と大きく値上げされる。ガソリン代は下がらない。国のお金を家計に行き渡らせ、景気回復や消費の拡大につなげたいという政権の戦略からすると、中途半端な感じが否めない。

 大綱決定にあたっては、前の自民党政権のように党税制調査会と政府税調の二本立てでなく、鳩山政権は政府と与党の税調を一本化し、協議を公開した。

 だが、実際は、政府税調は暫定税率廃止などの重要な案件を閣僚折衝に委ねたり、政府税調の増税路線に対する与党の反発に遭って主導権を握れなかった。

 折衝の終盤では、民主の小沢一郎幹事長が中心となった。首相は、小沢氏から重点として要望された暫定税率の維持を実質的に受け入れた。小沢氏が求めた子ども手当への所得制限は、首相が設けない方針を打ち出したことで双方の面目は保たれた形だが、協議の透明化にはなっていない。

 首相は暫定税率に関する公約変更を陳謝したが、ほかにも反省点が多い税制改正になったのではないか。




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