2009年12月19日(土) 東奥日報 社説



■ 青森・アウガ支援策/公金投入で自立できるか

 資本増強と新たな資金の貸し付けで、ビルは将来にわたり、順調に機能していくのか。期待の一方で、懸念も交錯する。

 青森市駅前地区にある「アウガ」を管理・運営する市出資の第三セクター「青森駅前再開発ビル株式会社」(資本金7億5千万円)の姿についてだ。

 再開発ビルは本年度2月期決算で債務超過寸前にある。市はビル側の要請もあり、支援策としてビルに対する債権を活用し5.6億円の増資を決定した。

 さらに、約9千万円の手持ち資金不足などに対応するため、新たに2億円を融資する方針だ。

 ビルの筆頭株主である市は、これまで日本政策投資銀行や青銀、みち銀の債権23億3千万円を8億5千万円で買い取り、残額については債権放棄を受け、金利の圧縮を図ってきた。

 だが、経営環境は他施設との競合にさらされ、不況もあって悪化した。

 今回の増資は、ビルに対する市の23億円余に上る債権の中から充当するもので、三セク発行の新株に充てる方式で実施される。市に事実上、新たな出資はなく、三セクにとっては増資と債務の圧縮が図られるメリットのある仕組みだ。

 が、36.7%だった市のビルへの出資比率は、63.7%となるという。三セクとしては異例といえる。市がビルの圧倒的な株主となる方向で、ビルは市への依存を強め、市はビルに深くかかわることになる。

 2億円融資は運転資金等であり、市は直近の経営リスクの回避を図ったもの。ただ「30年で返済」としたこれまでの債権に加え、返済めどは見通せない。

 三セクの苦境は全国的傾向であり、ビルには元気を回復してもらいたい。

 ただ、つなぎ支援は一時しのぎにはなるが、将来、再び苦境になる懸念を完全には否定できない。民間などを加え「経営戦略委員会」を新設するという市だが、ビル支援で財政上の基本規律を定める必要もある。

 アウガは2001年にオープンした。市中心市街地の駅前、新町商店街の中核施設の一つであることは、今も変わらない。周辺への一定の波及効果もあり、重要なまちづくりの拠点だ。

 しかし、当初の予測は大きく違った。市がビル建設や施設整備などに投入した経費は約170億円に上るが、当初の52億円のアウガの売り上げ見込みも30億円前後となり、ビル収入を圧迫した。

 今回の支援でビル側は市に経営改善計画を提出、市は一定の評価をした。

 テナント料金では売り上げに応じた歩合制から固定制に変更するなどリーシング(賃貸戦略)を見直すとする。11年度決算で6万円、13年度で約3千万円の単年度黒字(純利益)を出す青写真だ。「核テナント誘致」では、具体的で画期的な内容は薄い。全体に抜本策とは言い切れない。

 市は支援策を臨時市議会に諮る。デフレ不況下、行政の巨額支援などのない、商店や事業所などは、市のビル支援をどう見詰めているのか。ビル自身、そのことを厳しく認識すべきだ。

 ビルを市の負の遺産にしてはならない。経営に当たる再開発ビルと財政支援の市にとっては正念場だ。


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