2009年12月18日(金) 東奥日報 社説



■ 新船以外の対策も必要/大間・フェリーの行方

 下北半島を縦断する国道279号は本州最北端・大間町で途切れている。国道の起点は函館市側にあり、津軽海峡を横断する航路が「海の国道」と呼ばれるゆえんだ。

 しかし、国道航路とはいっても、交通手段は民間フェリーに頼っているのが実情。大間町民にとって片道約1時間40分で行ける函館市は、通院や買い物に便利な生活圏だが、その便利な足が2010年2月以降も残るのか、揺れている。

 同航路は08年9月、当時の東日本フェリーが燃油高騰などで採算が取れないとして撤退を表明。大間町と県が上限付きの赤字補てんを約束し、グループ会社の道南自動車フェリー(現津軽海峡フェリー)によって09年1年間の暫定運航を続けている。

 町や県は、この延命措置の間に航路維持の恒久策を検討するはずだったが、具体的な進展はほとんどみられなかった。業を煮やした事業者側は「航路維持のためには老朽化した現船に代わる新造船が必要」として、航路廃止を盾に町や県などに支援を要求している。

 仮に欠航率改善が見込める2千トン台の船を建造した場合、建造費は約30億円に上るという。金澤満春町長は今月初め、「航路を恒久的に維持するためには新造船導入が不可欠。町の財政負担は避けられない」と軌道修正したが、暫定運航延長という思惑が外れ、目測を誤った感は否めない。

 しかし、素朴な疑問がわく。新造船を導入することが恒久対策なのかという点だ。どこがいくら負担するにしろ、巨額を投じて船を更新しても輸送実績が伸びなければ、結局赤字が累積していくだけではないだろうか。新造船もいずれは耐用年数が切れ、償還期間を終えたら再び借金を抱えるという事態もありうる。

 事業者が示した今年上半期の輸送実績は、トラック705台(前年同期803台)、乗用車8833台(同8424台)、旅客3万1485人(同3万9129人)など。燃油価格の安定や高速道路割引による効果がみられるものの「経営努力でぎりぎり採算ベース」(事業者)の状態だ。

 昨年の調査では乗客の7割以上が下北地域で、北海道の乗客は約2割というデータもある。

 大間町は町民のフェリー利用促進を図るため、9月から旅客運賃の半額助成を開始している。利用した町民は月300人前後にとどまっているが、こうした取り組みも一つの方法だ。

 また、大間町のまちおこし集団「あおぞら組」が函館市湯の川温泉と企画した「オーマの休日」は、人気を博していると聞く。

 採算重視の民間会社に航路存続を求めるには、頭打ちの利用実績を伸ばすために、官民いとわず、あらゆる手を尽くすべきだろう。

 大間町は近く開かれる県と事業者との3者協議で、新造船について道筋をつける方針を示し、10年1月末までの1カ月間の自主運航という“猶予”を得たが、3者の航路存続に対する温度差をなくすことができるかは不透明だ。

 新造船を導入しても、安定的利用がなければ恒久対策とはならないことを、あらためて胆に銘じる必要がある。


HOME