| 2009年12月17日(木) |
師走も半ばに入った先週末、北海道と茨城で釣り人の遭難が続いた。背景には冬の海の怖さとともに、ルールを無視したレジャーの危うさが透けて見える。 北海道・苫小牧東港沖1.5キロの防波堤で夜釣りをしていた自衛官グループが大荒れの海に投げ出され、6人が死亡した。天候急変で釣りをやめ、プレジャーボートで岸に戻ろうとした矢先に高波にあおられて転覆したという。悪天候が予想される中、渡船までしての釣行が取り返しのつかない事故につながった。 茨城県神栖市の鹿島港では防波堤に夜釣りに来ていた会社の同僚男性3人が波にさらわれ1人が死亡、2人が行方不明となった。事故現場となった防波堤は1967年の一部完成当初からフェンスを設置し立ち入りを禁じてきたが、無断侵入の釣り人が絶えずこれまでに65人が死亡しているという。 いずれの現場も立ち入り禁止区域。つまりルールを無視したということだ。より釣れるところを求める愛好者の人気スポットで、釣り人が絶えることはないというから困ったものだ。 翻って県内はどうだろうか。三方海に囲まれた本県は、身近なところに釣り場が多い。外洋や内港に面した防波堤などは立ち入り禁止だが、侵入者が後を絶たないという。ルール無視は論外だし、禁止区域でなくとも夜の岸壁などは細心の注意が必要だろう。 それなのに釣り人の死亡事故は毎年のように発生している。今月10日にはむつ市の大畑漁港で夜釣りの男性が岸壁から転落し死亡、11月中旬には六ケ所 村尾駮漁港の防波堤で同様の事故が起きている。ここでは高波で昨年1人、3年前には4人が亡くなっている。ほとんどが立ち入り禁止の場所である。もちろん、港湾を管理、取り締まる側も手をこまねいているわけではない。先に三沢漁港で釣り目的で立ち入り禁止区域に入った男性2人が、軽犯罪法違反で書類送検されたが、一罰百戒の域を出ない。事故に遭わないためには、危険なところには立ち入らないこと。そこは釣り人の自覚に待つしかない。 本県では気象条件の良くない冬場は、完全なシーズンオフと見られがちだが、晴れ間を求めて近くの岸壁や磯に通う太公望は結構多い。しかし、寒気本番を迎えた冬の海、釣り場にはより厳しい顔があることを忘れてはならない。 季節風の吹きつける冬、怖いのは天候の激変や高波だけではない。ふだんなら比較的安全な岸壁も、岩場も凍って滑りやすくなる。寒さと防寒装備で動きも緩慢になるし、視界の悪い夜なら危険度は増す。まずは諸条件を確認し、安全を見極めることが一番だ。 足元の悪いのは釣りだけではない。最盛期を迎えた西海岸のハタハタ捕りも、一昨年12月には海中転落で犠牲者が出ている。かつて岩ノリ採りの女性たちが波にさらわれ死者を出す惨事もあった。 釣りが手軽に楽しめるレジャーというのは安全に注意を払い、きちんとルールとマナーを守ってこそである。慣れは禁物。この時季だからこそ慎重には慎重を期したいものである。 |