2009年12月11日(金) 東奥日報 社説



■ 短詩型文学に親しもう/東奥少年少女文芸

 東奥日報社は1日から県内の小中高生を対象に短歌、俳句、川柳の作品を募集している。題して「東奥少年少女文芸大会」。本紙でおなじみの「東奥文芸」の拡大ジュニア版だ。

 短詩型文学の底辺拡大を主眼にしたもので3部門そろっての紙上大会は県内初の試みといっていい。

 ウェブサイトからの投稿も受け付けるので多数の応募を期待したい。

 本県は60回を超す3部門の県文芸大会が歴史を伝えるように、全国でも有数の短詩型文学の盛んなところだ。各分野で著名な作家を数多く輩出している。短歌は戦前から続く分厚い才能の広がりがあり、俳句は全国クラスの賞を取った人がめじろ押しだ。もちろん、川柳も多くの先達が活躍してきた。伝統を支えてきたのは地域の結社の旺盛な活動であり、学校教育を含めた指導者のたゆまぬ努力だった。

 しかし“文芸王国”も過去の栄光になりつつある。そんな状況を示すように県内結社の同人、文芸大会参加者の年齢層は上がるばかり、若い人は数えるだけだ。この傾向はブームが続く中で20年ほど前から変わっていない。

 今や愛好者の高齢化は止めようもない現実である。当然のことながら次代を担う底辺の先細りも指摘されてきた。少子化に加え活字離れの進む昨今、短歌や俳句に興味を持つ児童・生徒がどれだけいるだろう。言葉へのこだわりも希薄になっている。そんな時代だからこそ、日本語を問い直す意味で短詩型文学の力がより必要なのではないだろうか。

 こうした危機感を背景に、若年層の発掘、育成に紙上大会を−という本社の呼び掛けに県内文芸3団体が呼応、県文芸大会の選を務める各界の指導者の全面的な協力を得てようやく実現の運びとなった。

 現代歌壇の担い手の一人として活躍する八戸市出身の梅内美華子さんは先の第62回東奥賞の授賞式で「小5の時、詠んだ歌が文芸クラブの先生に初めて褒められた。これが今日の短歌につながっている」と短歌との出会いを披露した。そして「若いころに短詩型文学に触れれば、大人になってもやっていける。体験が大事なんです」とジュニアの育成に目を向けた大会にエールを送る。

 県歌人懇話会顧問の福井緑さんも「こうした大会は私たちがもっと早く取り組む必要があった。発表の機会が広がり、興味付けにもなる」と若い芽の発掘に期待を寄せた。

 活字離れが進む中で最近の子どもたちは感性が乏しくなったといわれる。そこで、原点に返り伝統文化に触れながら言葉の力を通して豊かな心を取り戻してほしい。創作は学校教育の一環でも、家族との交流の手段としてでもいい。短歌や俳句をたしなんだおじいちゃんやおばあちゃんが心得を指導し、お孫さんと言葉遊びに興ずるのも悪くない。川柳で社会風刺の目を養うのもいいだろう。

 学校はもうすぐ冬休み。身近な出来事を五七五の歌や句に込めて、新たな世界に挑戦してみてはどうだろうか。きっと日本語のすばらしさを再認識する良い機会となるはずだ。


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