2009年12月10日(木) 東奥日報 社説



■ 販売順調さらに伸び期待/県内の産直施設

 新鮮な地場産の農産物や加工品を安く提供する産地直売(産直)施設の販売が県内で順調に伸びている。

 先ごろ県がまとめた調査によると2008年度は県内171施設全体の販売額が81億円に上り、07年度に比べ2億円、3%増えた。

 県が調査を始めた1999年には124施設で販売額は38億円だった。それが10年で施設数は4割増え、販売額は2倍以上となった。最近の経済関係では珍しく右肩上がりの成長が続いており、頼もしい。

 担い手の多くは農漁村の女性たち。農漁業を取り巻く情勢は厳しさを増すばかりだが、農漁家の家計を補完する収入となっている。

 各地の産直施設では、さらに活性化を目指した取り組みが続いている。まだ伸びる余地はありそうだ。大いに期待したい。

 08年度の調査結果をみると、県内6地域のうち、施設数が最も多いのは東青の37で、西北36、中南35、上北25、三八21、下北17と続く。常設の施設のほか無人販売なども含んでいる。

 地域別にみて販売額が最も多いのは中南で23億円。三八が18億円で続き、下北を除く5地域が10億円を超えている。07年度と比べると西北がやや下回ったほかは、すべて伸びており、上北は9%も増えた。

 上北の中でも十和田市の「味菜館」は3倍近くになった。アドバイザーの指導を受け、商品の陳列を変えたり、安売りのイベントなど開催した結果という。

 県内の産直施設の先駆けは、「名川チェリーセンター」(南部町)だ。1991年に開設され、翌年には1億2千万円の売り上げがあった。この成功が呼び水になってか、各地で施設の開設が進んだ。

 経営主体は農漁協のほか、自治体も加わる第三セクター、農漁業者組織などだ。国道沿いなどにある「道の駅」内の施設は立地条件の良さからか好調な施設が目立つ。観光名所になっている施設もある。

 県内で販売額トップクラスの「サンフェスタいしかわ」(弘前市石川)は、自前の加工場も持ち、商品が不足する冬場も品ぞろえを確保している。農産物や加工品の販売にとどまらず、地域の食文化を提供するレストランも人気だ。

 来年12月の東北新幹線全通へ向け事業拡大を目指す取り組みもある。七戸十和田駅に隣接する七戸町の道の駅「しちのへ」の産直施設だ。増床計画を進め、美術館を備える道の駅自体の人気に加えて新幹線効果を取り込もうという狙いだ。

 一方で、従事者の高齢化や活動のマンネリ化による停滞が見られるという指摘がある。販路拡大にはインターネットなど情報発信に対応できる人材、コスト管理も必要だ。1施設では品ぞろえに限りもあろう。

 これに対し、各地域では魅力ある産直経営や人材育成へ向け研修を重ねている。品ぞろえなどの面では、産直施設間の連携で補い合い、販売力を強化しようという取り組みも進む。成果を期待したい。

 産直施設の魅力は新鮮、安全、低価格だ。消費者ニーズにかなう。地産地消も後押しする。味菜館のようにまだ伸びる余地はある。右肩上がりを続け、県経済を元気づけてもらいたい。


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