2009年12月8日(火) 東奥日報 社説



■ 党首討論の回避は疑問だ/国会閉会

 政権交代後、初めて行われた臨時国会も閉会した。政治主導によって「国会も変わる」と注目した国民だが、国会論戦をみる限り期待通りとはいかなかった。

 「言論の府」国会に民主党を中心とした新政府による新風が吹いたものの、論議を成熟させることができないまま幕となった。

 12月4日までの小幅延長を含め、40日の会期があった臨時国会だった。にもかかわらず、新首相と野党第1党・自民党の新総裁が生まれたというのに党首討論が行われなかった。

 鳩山首相が、民主がわずか1時間に満たない党首討論に応じなかったためだ。むしろ、自身の偽装政治献金問題などから、これを回避したとみる向きが大半だ。遺憾な対応だ。

 マイナス材料を不安視し、デフレ不況、円高に対応する経済対策に専心、集中するため−を理由にした対応は、「国会軽視だ」といわざるを得ない。

 国会冒頭、初の所信表明という舞台で「(この国会で)国民のためになる議論を、ぶつけあっていこうではありませんか」と、自ら勇躍し呼びかけた首相だ。そして「政治を変える」と主唱してきたのも民主だ。

 が、現実はどうか。

 自民から「(西松建設巨額献金問題を抱える)小沢隠し、鳩山隠しの国会」との批判が噴き出した。国民を代表する政治家が討論を避けては政治主導もない。出直すべきだろう。

 党首討論のテーマは「政治とカネ」だけではない。

 2005年衆院選最大の争点だった郵政民営化の見直し、さらには経済対策、普天間飛行場問題、子ども手当にかかわる財源対策、注目を集めた事業仕分けなど論点は多々あった。

 こうした問題で、議論を深める場が失われた。首相が言葉を行動に移さず、「議論する国会」の機能を低めた責任は重い。

 そもそも、首相の偽装献金疑惑については各種世論調査でほぼ7割以上の国民が「納得できない」と答えた。次々と明るみに出た、貸し付けとされる母親からの巨額な資金提供。さらには、資金を小口に仕分けした虚偽献金記載の問題だ。

 首相は自ら討論に臨むべきであったし、「国会運営は党に任せる」とはいうものの、党代表として党方針に口を挟むのは普通の姿だ。党首討論を大事にする力強い姿勢がほしかった。

 検察の判断は元秘書の在宅起訴という形で、遠からず出る方向とみられる。その結果を待って使命を果たすという首相だが、政治とカネについて、秘書の責任は政治家の責任−と主張してきた野党時代からは、皮肉にも大きくかけ離れた。

 自民は党首討論や政治とカネの集中審議を求め審議拒否を続けた。審議拒否から復帰しまた拒否と、方針は動いた。日本郵政株式売却凍結法案では党の乱れを懸念し、採決を欠席。国会運営では十分、力を発揮できなかった。

 民主は党首討論開催などの要請をはねつけ、かつての自民同様、法案成立優先で強行採決に踏み切った。

 議論する議会は代表質問と予算委員会だったか。与野党の駆け引き、党利党略など時々の情勢で党首討論を取りやめる。都合主義の討論なら、願い下げだ。


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