2009年12月5日(土) 東奥日報 社説



■ 第62回東奥賞/県民とともにたたえたい

 東奥日報社は5日、歌人の梅内美華子さん(39)=八戸市出身、東京都=と、十和田市現代美術館に第62回東奥賞を贈る。

 多くの県民とともにその大きな功績をたたえたい。

 東奥賞は、文化、学術、産業など各分野で活躍し、本県発展に尽くした個人、団体に対し、長く県民に代わって贈呈されてきた。

 梅内さんは、旺盛な作家活動と普及活動で現代短歌会をリード、2008年からは中央歌壇の「角川短歌賞」の選考委員を務めるなど、古典から現代社会まで幅広い素材を歌う、気鋭の歌人として高い評価を受けている。

 1991年、梅内さんの短歌作品50首は、新人登竜門である、この角川短歌賞を受賞、短歌の新星は「学生歌人」として一躍、日本歌壇の注目を集めた。同志社大3年生のときだった。

 短歌と出会ったのは八戸小学校の文芸クラブ。八戸二中時代は、市内の短歌結社「国原」で稲垣道さんの指導を受け、八戸高校3年のときに、歌人・馬場あき子さん主宰の「かりん」に入会した。

 「生き物をかなしと言いてこのわれに寄りかかるなよ 君は男だ」=第1歌集「横断歩道」(ゼブラ・ゾーン)。この当時の梅内さんの作品は、「自立した女性像」などを描くしんの強い歌風で、「ポスト俵万智」と言われた。

 以降、第2歌集「若月祭(みかづきさい)」、第3歌集「火太郎(ほたろう)」、第4歌集「夏羽」(なつばね)を世に出し、多くの賞を受賞してきた。

 この間、繊細で鋭敏な感覚を研ぎ澄まし、古典を研究するなど幅を広げた。第3、第4歌集では、故郷を愛し、肉親、家への思いも強めていく。馬場さんは「何より梅内さんの魅力は、東北の女性らしい優しさと思いやり、度胸のすわった放胆さが同居していることだ」と指摘する。

 「短歌は詩である」。

 そう思い続けている梅内さん。今後、どのような作風と境地を開くのか。

 大いに期待したい。

 十和田市現代美術館は現代アートの体験空間を、日本の道百選「官庁街通り」の景観と、斬新な手法で見事に一体化させた。

 十和田市は沿道に空き地が目立つ官庁街通り全体を「野外芸術文化ゾーン」とする構想を打ち出し、現代美術館はその拠点施設と位置付けられた。開館は08年4月。それから約1年半で延べ32万人が来館し、市の観光スポットとなった。

 ガラス張りの開放的な造り。作品ごとに独立した展示室。常設展示では、オノ・ヨーコさんの「平和の鐘」をはじめ、中堅・若手など国内外の有望な現代アート作家21人の作品が、空間全体を使う独特の手法で表現されている。

 企画展では、作品の一部を中心商店街に展示。商店関係者や美術館ボランティアスタッフの協力で個性ある「まちなかツアー」を実施し、商店街に新風を吹き込んだ。まちづくりへの貢献も極めて大きい。

 「今後100年はアートを組み入れていき、地域活性化につながれば」と村山康子館長は語る。「地方にあってもこれだけやれる」との、強烈なメッセージを全国に送り続けてほしい。


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