2008年3月11日(火) 東奥日報 社説



■ 質疑もしないで採決とは/最終処分拒否条例案

 本県が今、高レベル放射性廃棄物の最終処分問題で正面から向き合うべきは「本県を最終処分地にしないという絶対的な原則」(三村知事)をいつ、どう具体的な形にするかだろう。

 県議会野党の共産党、県民クラブ、社民党は「青森県を最終処分地としないことを宣言」する条例の制定を求めている。本県がなし崩し的に最終処分地になるのではないかという県民の不安、苦悩を後世にも残さないようにする法的な裏付けが必要という考えからだ。

 知事は、条例は不要とする。本県を最終処分地にしないという約束に変わりはないことを節目ごとに国に確認してきたなどが理由だ。その一方、国から確約書をあらためて取り付ける考えを県議会で表明している。

 県議会の過半数を握る自民党は、知事のこの姿勢も評価して十一日の本会議での採決で条例案に反対する。民主系の新政会などほかの会派も同じ姿勢だ。条例案は否決されるようだ。

 ただ、条例案の議論は一般質問などで十分に行われてきたから質疑も、賛成か反対かの討論も省略し、採決だけを行うという十日の県議会議会運営委員会の決定には疑問がある。

 野党三会派が条例案の内容や提案の理由、経緯を県議会に示したのは六日だ。反対する会派は、なぜ条例案は不要と判断したのか。あらためてそう聞きたい県民もいるだろう。

 この条例案は史上初めて県議会に出された。その賛否を堂々と問うせっかくの機会を生かさないと、議論を深めるという県議会の大切な役割・責任を結果的に傷つけないか。

 議論した内容を議事録にきちんと残すことにも意義がある。最終処分問題は今後も取り上げられるだろうから、その際の参考にしたり検証する手がかりにできるからだ。

 知事とともに県民を代表している県議会が出す結論は、本県の将来にも、国がエネルギー政策の柱とする核燃料サイクル事業にも影響する。それだけ重要な採決にふさわしい県議会の対応を望みたい。

 最終処分問題が注目されている理由は、いくつもある。特に問題なのは、国も乗りだしている処分地選びのめどが全く立っていないことだ。

 試運転中の六ケ所六ヶ所再処理工場が本格稼働に入ると、大量の高レベル廃棄物が製造される。六ケ所には海外から返還された高レベル廃棄物も一時保管されている。処分地選定作業が遅れるほど、本県が最終処分地にされるという心配が募っていく。

 北村県政と木村県政のとき、知事の了承なしには本県を最終処分地にしない旨の確約書が国から示された。ところが、確約書の文言づくりにかかわった当時の県の幹部は「確約書は、将来にわたり本県を最終処分地にしないという担保にならない」と本紙に証言している。

 本県初の原発が稼働する東通村の行政や議会では、最終処分地誘致を意識したかのような発言や勉強会も行われている。

 最終処分問題が緊迫、混迷の度を深めている最中だからこそ採決のあり方、行方に対する県民の関心はとても高い。県議会がかみしめてほしいことだ。


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