2007年11月7日(水) 東奥日報 社説



■ 患者の不安をどう解消/療養病床の削減

 慢性的な病の高齢患者らが長期間入院する療養病床を、厚生労働省が二〇一一年度末までに大幅に削減するという。医療費抑制などのためだ。

 削減した療養病床は老人保健施設(老健施設)など介護施設への転換を目指す。介護施設は療養病床より患者一人当たりの費用が安くつく。だから、症状の軽い患者にそこへ移ってもらおうという狙いだ。

 療養病床は医療保険適用の医療型(二十三万床)と介護保険適用の介護型(十二万床)がある。医療型は十五万床に減らし、介護型は全廃する。

 本県の療養病床は現在、医療型が約千九百床、介護型が約千床あるが、これも当然、削減を余儀なくされる。

 県が今夏、各医療機関にアンケートしたところ、医療型で存続を想定しているのは約千六百床だった。現状に比べ、ほぼ半減する。それでも、国の計算式ではまだ二百床多いという。

 病床数が少なくなるので、患者は老健施設などの介護施設に移らなければならなくなる。

 だが、療養病床は医師や看護職員が多いのに対し、老健施設は少ない。「本来、必要な医療を受けることができるのか」「介護施設は必要な医療サービスをちゃんと提供できるのか」と心配する声が上がっている。

 国は昨年、療養病床の患者に三つの医療区分を設けた。症状が最も軽いのが「区分1」、中程度が「2」、最も重いのが「3」だ。療養病床から介護施設に移る対象者として、厚労省は「1」の患者すべてと「2」の患者の30%を見込んでいる。

 だが、「区分1」には外部から直接、胃に栄養を送る胃瘻(いろう)も含まれるという。そうした患者や家族にとって、医師や看護職員の夜間配置が義務づけられていない老健施設などはやはり不安だろう。

 厚労省はまず患者の不安や心配を払しょくすべきだろう。

 今春、厚労省は療養病床再編でできる老健施設に夜間の看護職員を配置することを決めた。介護報酬も加算し、従来とは違った新たな老健施設とする方針も示した。だが、これで医療内容が十分といえるかどうか。

 老健施設の内容を今後さらに改善するのかどうか、はっきりしない点も多い。これでは医療機関が新老健施設に転換すべきかどうか、判断に迷うだろう。

 厚労省は昨年「区分1」の診療報酬を大幅に引き下げた。このため、採算が取れず、既に療養病床を廃止したり削減したりする医療機関が出ている。「区分1」の患者は療養病床で受け入れにくくなった。

 本県は「区分1」の患者が医療型の約四割、介護型の約七割を占める。新たな老健施設などの整備がうまく進まなければ、この「区分1」の患者の行き場がなくなり、“医療難民”“介護難民”になりかねない。

 厚労省はこの療養病床再編で一二年の医療保険と介護保険の給付費が合わせて三千億円節約になると言う。だが、“難民”が生まれては何にもならない。

 本県の高齢者人口の割合は全国平均を上回る勢いで増えていく。長期療養が必要な高齢者が安心できるよう、腰を据えて再編策を練ってもらいたい。


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