| 2007年5月10日(木) |
政府は近く自殺総合対策大綱を策定する。了承した大綱の素案では、十年以内に自殺死亡率を20%減、実数で約五千人減らす数値目標を盛り込んでいる。 わが国の自殺者は年間三万人を超す。健康問題や多重債務、失業など原因、動機にはさまざまな要素が絡んでいる。 かつては「自殺は個人の問題」という考え方もあったが、行政や地域の住民、福祉・医療の関係者などが連携して予防していこうと、日本の自殺対策は大きく変わってきている。 本県の人口十万人当たりの自殺死亡率は、二〇〇五年まで四年連続して全国ワースト二位となっている。 県は本年度、新規事業として相談窓口担当者の育成、うつ病の早期発見などのため精神科と一般心療科の医師の連携交流などに取り組む。「心のケア」充実へ地域が一丸となることが、自殺対策推進の要となる。 日本の自殺者数は、一九九八年に前年より約八千人も急増して三万人を超えて以来、毎年この高い水準が続いている。総合的な自殺対策の推進を図ることを目的に、〇六年に自殺対策基本法が成立した。 基本法では、自殺の背景にあるさまざまな社会的要因を踏まえた対策の実施を求めている。 働き盛りの五十代の自殺者が多く、中高年男性の自殺が全体の約六割を占める。職場や家庭で重要な立場にあれば、それだけで心理的なストレスを抱えているといえる。 過労や失業、親との死別などがきっかけとなって精神的に追いつめられると、孤立感・焦燥感にさいなまれる。周囲に相談できなくなる。高齢者は家族に負担をかけまいと、なかなか思っていることを語らない。 県はこれまで、高齢者自殺予防、市町村の予防活動への支援などを実施してきた。南部町は旧名川町時代から「心の健康づくり事業」を行い、高齢者が住民と触れ合うことで孤立化を防ぐなど、自殺予防へ成果を上げている。 大綱素案が求めているように課題の一つは、相談・支援体制の充実だ。自殺の原因となるような問題を抱えた人が、身近なところで気軽に話し合える人や窓口が必要になる。 県は、「傾聴ボランティア養成事業」と称して、身近な民間相談スタッフの育成を計画している。本年度から二年間で各保健所ごとに四十人、計二百四十人を養成する予定だ。 遺族のケアの充実も大事なことだ。自殺や自殺未遂で遺族ら周囲の人が受ける心理的な打撃は深刻で、苦しみは大きい。つがる市が二月に開いた「遺族の集い」は、そんな心の内を話し合う貴重な場となった。 本県の自殺者数は、〇三年の五百七十六人をピークに〇四年は五百五十四人、〇五年が五百二十七人と減る傾向にあり、〇六年は五百人を切る可能性があるという。地道な対策が、少しずつ効果をみせているのかもしれない。 ストレスが多い現代社会では誰もが精神的な不調を来す恐れがある。精神保健分野だけでなく、労働行政、教育や職域との連携など多方面に対策を広げることが肝要となる。 |