Web東奥・社説20041117
  
2004年11月17日(水) 東奥日報 社説



■ 子育て支援続けてほしい

 子育てにはお金がかかる。内閣府の外郭団体である家計経済研究所がまとめた「消費生活パネル調査」によると、子育て費は世帯全体の平均で月四万六千四百円に上り、生活費の実に16.1%を占めているというのである。

 子供の数で家計に占める割合は変化する。子供一人では、月二万六千五百円で家計に占める割合も10%と低い。二人の場合は五万八百円で17.9%、三人では六万千四百円、19.8%まで上がる。子供の数が多いほど支出が増えるのは当然だ。

 また、子供の年齢が上がるにつれ出費は急カーブになる。長男、長女が〇−三歳の場合は二万三千六百円だが、中学生になると一気に六万五千円と三倍近くまで膨れ上がっているのである。

 家計経済研究所では、子育て費が、家計にかなりの負担になっており、年々低下している出生率の一因と考えられると分析する。

 ところで県は、出生率の向上や安心して子供を産み育てる環境づくりを支援するための第三子以降の保育料を補助する二つの事業を、来年度から縮小または廃止する方針を打ち出した。

 二つの事業とは、三人目以降の児童の保育所の保育料を助成する「保育料軽減事業費補助」と、三人目以降の児童の幼稚園保育料のうち、国の補助金で補てんされない分を助成する「すくすく子育て支援費補助」だ。

 この突然ともいえる方針転換に県民からは不満の声が起きている。当然だろう。財政難だから理解してと言われても納得できるか。

 そもそも、この施策は「福祉日本一」を掲げた前任の知事の目玉事業で保育料軽減事業費補助として導入した。保育所は一九九六年十月から、幼稚園は九七年十月から、それぞれ市町村が行う保育料軽減事業に要する経費の二分の一を補助してきた。

 県は、この事業が子供の多い世帯の育児にかかる経済的負担の軽減に一定の効果をもたらしたと認めている。その一方で、「少子化に歯止めをかける狙いだったが、厳しい財政下で効果が問われている」「出生率向上という事業効果が表れていない」とも言う。

 現状のままでは効果が出ないからといって、事業を打ち切るというのはいかがなものか。それよりも生産年齢人口が減り続けている現状をどうみるか。次善の策があるのかどうかだ。

 本県の状況をみると、大正時代以来ずっと続いていた人口増加は、八五(昭和六十)年の百五十二万人をピークに減少に転じた。

 二〇〇三年十月一日現在の推計人口は百四十六万人。国立社会保障・人口研究所の将来推計人口によると、今後も減り続け三〇(平成四十二)年には約百二十六万五千人になると予測する。毎年七千人強の人口が減っていく。

 特に出生率については、施策を講じたからといって短期間で効果が表れるものなのか。県財政が逼迫(ひっぱく)していることは分かるが、ここは、もっと長い目で、目先だけの効果に惑わされず、施策を今後も続けることができないものか。

 県は保育料軽減事業について、本県を含め十五県で実施しているが、多くは第三子以降の三歳未満児までを対象としていると縮小の理由を挙げる。

 昨年七月、次世代育成支援対策推進法が制定され、これによって行政や企業、地域社会が一体になって子育ての支援に取り組むことになっているという。

 今秋、県病に総合周産期母子医療センターがオープンした。赤ちゃんの死亡率を下げ、出生率を上げる施策を開始し、その成果が期待されているのである。それだけに第三子以降にこそ経済的支援を続けていくべきだ。


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