| 2003年12月13日(土) |
本県の二〇〇三年産リンゴは、全般に着色や品質がよく、比較的堅調に推移している。ここ二年、安値が続いてきただけに、今後の相場に期待したい。 板柳町では昨年十二月、「りんごまるかじり条例」を制定した。続いて三月には「りんごまるかじりガイドライン」を施行。ガイドラインに沿って、生産の現場で安全を確保するとともに、生産情報を管理し消費者に伝えてきた。 県内でも初の試みであり、手探りだったが、リンゴの収穫時期に間に合わせてシステムの運用を始めるなど、一定の成果が挙がった。その一方で、いくつかの課題が残った初年度でもあった。 まるかじり条例の仕組みはこうだ。条例の趣旨に賛同した生産者は、町と協定書を締結して、生産者登録をする。安全ガイドラインに従って、農薬や除草剤はリストに記載されているものの中から購入し、農薬の安全使用基準を順守、自家製たい肥も原料や製造方法を明確にする。 また生産者ガイドラインに沿って、生産者は作業の日にちを書いた栽培日誌、農薬をいつ、何倍に薄めて、何回散布したかを記した防除日誌、そして最後に収穫出荷日誌を町へ提出し、認証を得る。同町のリンゴ農家千六百戸のうち千三百戸が生産者登録した。 町では、まるかじり条例実証モデル事業として、総務省の「eまちづくり事業」の補助金を受けて、生産者の生産履歴の情報をホームページで公開する「りんご生産情報公開システム」を構築した。 生産者には「安全・安心」を認証したシールを配布。生産者はリンゴの果実か箱にシールを張っておくと、消費者はバーコードを利用するか、各生産者ごとのIDから、リンゴの生産履歴を閲覧できるようになっている。 板柳町は昨年、無登録農薬問題で大きな打撃を受けた。町内の農家十二戸が無登録農薬を使用、また町内で無登録農薬を販売した業者が逮捕されたりもした。町独自に全農家の残留農薬検査を行ったところ、いくつかの検体からは残留農薬が発見され(再検査ではシロ)、県の安全宣言が遅れるという事態にもなった。 まるかじり条例は、無登録農薬を使わないというだけでなく、生産履歴を積極的に明らかにすることで、消費者の安全・安心なリンゴを求める声に応えようという試みである。 だが、ほかでは実施していない先駆的な事業であるだけに、困難もつきまとう。 まるかじり条例に沿ったリンゴには、生産履歴を調べることができる生産者のIDやバーコードが付いているが、同町だけの試みのため、消費者にほとんど知られていない。板柳産の一部のリンゴだけでは、まだ点の段階であり、面へは広がっていない。 市場では同町産だけでなく、県内他市町村、他県産のリンゴも扱っており、バーコード付きリンゴへの特別な配慮は難しい。いきおい条例に沿って付けた認証シールでの販売の出番は、都会で開く同町の物産展やフェアなどに限られがちだ。 生産日誌への記帳に対する農家の負担の問題もある。栽培日誌は極力書くスペースを少なくし、防除日誌は各防除組合で代行できるというが、それでも農家の中には重荷に感じる人もいる。 まるかじり条例に沿った認証シールは、本年度産は無料だったが来年度は有料にする。認証シールを張ったリンゴが、ほかのリンゴより高く売れれば、シールを張る農家は増えるだろう。そのためにはまず消費者へ安全・安心をアピール、シールを張ったリンゴの浸透に努めることが大事だ。今はその緒に就いた段階といえよう。 |