| 2003年5月24日(土) |
たばこの喫煙や受動喫煙による健康被害を防ぐための法規制の動きが国際的にも一気に強まり、たばこ消費が大幅に減る方向になってきた。弱者保護と健康維持の両面から歓迎できる動きである。 受動喫煙の防止を法的に義務づけた健康増進法が一日から施行されたのに続き、喫煙による健康被害の防止を目指した「たばこ規制枠組み条約」が二十一日、世界保健機関(WHO)総会で採択された。早ければ年内、遅くとも来年中には発効する見通しだ。 これにより、グローバル化した国際社会でたばこ消費が削減されていく見込みとなり、嫌煙家にとっては大朗報といえる。愛煙家の肩身は、国際的にも一段と狭くなるが、世界の潮流には従うほかなさそうだ。 WHOには世界百九十二カ国が加盟、最後まで条約案に反対してきた米国を含む全会一致で条約は採択された。今後、各国は署名、批准を経て、条約の規定に合わせた国内法の整備を進めていくことになる。 喫煙に関連した世界の死者は、イラク戦争に比べても、けた違いの年間五百万人近くに達し、しかも年々増え続ける傾向にある(WHO調べ)。 こうした状況下、喫煙の健康被害を抑制しようと、WHOを中心に三年前から条約策定作業を進めてきた。多数を占める反たばこ諸国と、たばこ産業を抱え規制強化に慎重だった日米、ドイツが対立、条約づくりは難航した。しかし、規制強化を求める世論が次第に慎重派の国内でも強まり、たばこの消費削減を目指す包括的規制の枠組みがようやくまとまった。 各国政府は憲法に抵触するなどの理由がない限り、条約発効から五年以内に、たばこ広告を禁止しなければならない。また健康警告表示の拡大、未成年者への販売禁止措置など、具体的な規制策も盛り込まれた。憲法上、広告禁止措置などが不可能な国の場合は、規制強化で済ませられる例外を認めた。 条約は前文で「たばこの消費、受動喫煙が死や疾病をもたらすことは科学的に証明されている」と明記し、消費削減へ重課税政策を取ることを宣言、原則としてたばこの広告を禁止している。たばこの値上げや増税は「消費削減に有効な手段」として奨励した。 広告以外にも、プロモーション(販売促進)、催しのスポンサー行為などを禁止して条約の目的である消費削減につなげるとし、各国に禁止措置を講ずるよう求めている。 たばこの主要包装面の原則50%、少なくとも30%以上を健康警告表示にあてることも盛り込まれた。たばこ産業界にとって、かなり厳しい規制となる。 未成年者への自販機の利用制限措置の具体的内容は、各国の裁量に委ねられた。 また「マイルド」や「ライト」など、健康への害が少ないという表現を例示し、他より害が少ないとの誤解を与える表現によって販売を促進しないよう求め、日本などに配慮して禁止には踏み込んでいないものの、規制できることにした。 この条約は公衆衛生分野で採択された初の国際条約で、日本も近く、条約に署名する予定。四十カ国が批准した九十日後に発効することになっている。 ブルントラント事務局長は「将来的に何十億人もの人命や健康を救うことにつながる。各国は条約を国内規制法の基礎としなければならない」とした。その通りだ。 日本では今月一日から他人のたばこの煙を吸わされる受動喫煙の防止を法的に義務づけた健康増進法が施行されており、今後はたばこの広告や販売促進活動が規制されることになる。 |