| 2002年3月17日(日) |
弘前の中心市街地が元気がない、と言われて久しい。 市は一昨年「活性化基本計画」を作り、弘前駅前から土手町、弘前公園に至る中心市街地再生の方針を打ち出した。これを受け弘前商工会議所が、計画実現に向けた「TMO(まちづくり機関)構想」をまとめ、市に提出している。 早ければ今月中にも市が認定。同会議所は、青森、黒石に次ぐ県内三つ目の「TMO」になる運びだ。大いに期待したい。 かつて、弘前の特に土手町周辺は、「かくは宮川」など三つの百貨店や個性的な店が軒を連ね、散策するだけでとても楽しい商店街だった。レジャーを兼ねた買い物客で、にぎわったものだった。 それが一九九〇年代に入って、同市の商業地図は大きく塗り替わってしまった。 (1)土手町地区(2)「イトーヨーカドー」「ダイエー」が進出した弘前駅前地区(3)土手町から「弘前ビブレ」が移転した郊外の城東地区−の三極構造ができあがった。 そして九五年に老舗スポーツ店が倒産したころから、土手町の地盤沈下が顕著になった。翌年「グルメ通り124」(ヒロサキ食品センター)閉店、九八年には、「かくは宮川」の廃業に代わって開店したファッションテナントビル「ハイ・ローザ」も撤退した。 二〇〇〇年はさらに厳しさが増した。七月にホテル法華クラブ撤退(その後パークホテル開業)。八月、レディスファッション「花邑」閉店。さらに十一月、県内書店業界の老舗「今泉本店」が自己破産を申請し、県民を驚かせた。 現在も時折、商店の閉店や廃業が伝えられる状況だ。 ハイローザの空きビルは、更地となって現在に至り、土手町衰退の象徴のように見なされている。 専門家によると中心市街地活性化法が求めるTMOの役割は、個別の商店や商店街に限定せず、市街地の総合管理・経営、つまり街全体のマネジメントだという。 こうした発想はなじみが薄く、具体的イメージを考えづらい。各商店や居住者の全員が、その計画に同意し従うか、難しい問題だ。 そこで、当事者だけでなく、多様な市民の意思と知恵の結集が、強い推進力になるのだという。 この点、弘前商工会議所のTMOは十分配慮している。市民の意見を広くくみ上げる場として「TMO協議会」を設けるという。 対象は市民グループやNPO、ボランティア、商業観光関連機関、弘前出身者、タウンマネジャーを含む有識者、そして同市の大きな特徴である「大学」関係者、などを想定している。 まさにTMOの意義はここにある、と強調したい。 既に定着している郊外の大型店地域と、“同じパイ”の奪い合いを狙っても、互いに益は少ない。 弘前のTMO構想は、「大型店には負けない」が「競合しない」商店街づくりを、提唱している。 商店街の特徴は、人が住んでいること−に尽きると思う。同構想も第一にそれを指摘している。 住む人の居る空間だけが持っているぬくもり、生命力、あるいは多少の乱雑ささえも、ある種の魅力となり、人々を楽しませる。空き店舗の目立つ、いわゆる歯抜け状態の街には、それが希薄だ。 ここで重要なのは、商業者一人ひとりの商売への意欲だという。 残念ながら、先行きの不安から廃業を考える店もあるとされる。空前の不況が、これに一層の拍車を掛けている。 同TMOは当面、高齢者福祉の観点も含んだハイ・ローザ跡地の活用や、空き店舗対策などに取り組む方針。先進他都市の例を見ても、数年以上必要な事業が多い。 “ありきたり”は避け、市民参加で実効性の高い独自事業を目指すよう、強く要望しておきたい。 |