| 2002年2月15日(金) |
景気低迷やゼロ金利が長引くなか老後不安につけ込む悪徳商法がはびこっている。ねずみ講まがいの一部不心得な「マルチ商法」による利殖の「甘いわな」にはまるトラブルも絶えない。被害に遭わぬようあらためて自戒したい。 世知辛い世の中、うまいもうけ話がやたら転がっているわけはない。言葉巧みな甘いもうけ話には裏がある。危険な落とし穴が必ず待ち構えていると覚悟しなければならないだろう。悪質商法に引っかからないためには業者に乗じられることのないよう、きっぱり断る姿勢が不可欠である。甘い誘い文句に引き込まれないよう気を引き締め賢い消費者でありたい。 県内でも同様だ。「出資金が一年で倍になる」。のどから手が出るようなうたい文句で誘い、多額のお金をかき集める「マルチ商法」を展開していた健康食品販売会社倒産による被害相談や問い合わせが県消費生活センターなどに相次いで寄せられている、という。 同社は先月末に破産宣告。債権者は全国で約四万人。倒産のあおりで出資金が戻らないなどの被害は県内でもかなりに上りそうだ。東京では被害者対策弁護団が結成され救済に乗り出すとともに告訴を検討中だ。福島など各県でも弁護団の結成準備が進んでいる。 本県の場合、弁護団は結成されていない。だが、このまま泣き寝入りに終わるのでは何ら問題解決に結びつかない。汗水流して稼いだ、とらの子のお金がみすみす巻き上げられるのではかなわない。何よりも被害者は県消費生活センターなど最寄りの機関に訴えて相談することが大切だ。各自治体の相談窓口も被害者の苦情に親身になって対応するよう求めたい。 元会員らの話によると、この商法の仕掛けはこうだ。同社は一口百五十万円で出資者を募る。出資した会員がカニの甲羅などから作ったとされる健康食品の販売を同社に委託。すると半月ごとに十二万円の「販売利益」が振り込まれる仕組みだ。会員は新会員を勧誘すると三十万円程度を受け取れるというから、まさに「ぬれ手にあわ」のぼろい話には違いない。 昨年誘われて百五十万円余を出資したという女性会員は「入金を示す通帳を見せながら強く勧誘された。断れない雰囲気だった」と言う。強引な勧誘は、この種商法のお決まりの手口ともいえる。 契約後の当初は順調に還元金が会員に振り込まれてくる。これまた被害者を安心させる、いつもながらの典型的手法だろう。今回の女性のケースも最初の数カ月間は配当金が入金されていた。しかし十二月になると還元金はストップした。女性は契約解除を申し出たが結局なしのつぶてのようだ。 同社は昨年末、資金繰りが行き詰まったとして突然配当を中止。会員に「新会社をつくるので債権放棄の同意書を提出してほしい」と説明していた、という。事実とすれば驚くべき許せない話だ。 県消費生活センターなどへの相談は先月から殺到。十日までに約五十件が寄せられた。契約通りに配当が振り込まれない、契約後クーリングオフしたが金が戻らない−などの深刻な内容が多い、という。元会員らによると被害者は五百人を超えそうだ。憂うべき事態だ。出資金を少しでも取り戻す方法はないのか。早急に被害者救済に乗り出すことが求められる。 高齢者をターゲットにした悪質商法の苦情相談が県内でも増えている。低金利や不景気で一歩間違えると、だれもが同様被害に遭いかねない。「老後に不安を持ち少しでも蓄えを増やしておこうという人が被害を受けやすい。おいしい話には何か裏があると考えて」こう中村年春県消費者協会長は警鐘を鳴らす。消費者の自己責任が問われる時代だ。慎重な判断と細心の注意を忘れてはならない。 |