| 2001年6月23日(土) |
新潟県刈羽村の住民投票の結果を受け、プルトニウムを普通の原発で燃やす「プルサーマル計画」が行き詰まりを見せている。各地のプルサーマル計画が延期され、六ケ所村の核燃料サイクル施設で使用済み核燃料を大量に受け入れている本県としては、今後の動向に目が離せない。 プルサーマル計画がこのまま凍結されれば、六ケ所村の施設には使用済み核燃料が再処理されず、たまり続ける可能性が高まるからだ。一年三カ月ぶりに開かれた「原子力政策青森賢人会議」でも、この問題をめぐり疑問や懸念の声が相次いだ。国や事業者は今後どう事態を打開するのか明確に説明すべきだ。同時に、国民合意のないままにプルサーマル計画を強行することは断じて許されない。 日本の原子力開発利用の方向として、プルサーマル計画は推進すべきなのか。あるいは、取りやめる方がよいのか。核燃料サイクル政策も含めて、国民に対し十分に情報を公開しながら時間をかけて論議を尽くす必要がある。 国はプルサーマルの推進を一九九七年に閣議決定した。国内有数の原発を抱える福井、福島、新潟三県の原発四基を皮切りに、全国十六−十八基の原発に順次導入する計画だ。 しかし、地元の理解が得られず三県とも実施のめどは立っていない。それもそのはず、核兵器の材料で猛毒のプルトニウムを核燃料に加工して普通の原発で燃やすというのだから、住民が慎重になるのも無理はない。 東海村の臨界事故やデータ改ざんなどトラブルが相次ぎ、国の原子力行政に対する国民の根強い不信感もある。住民の反対の意思表示は当然の帰結ともいえる。 プルサーマルについて、国は「将来のエネルギーの安定確保に不可欠」と位置づけしている。 プルサーマルが進まないと使用済み核燃料の再処理ができない。再処理ができないと、原発の敷地に使用済み核燃料がたまり続け原発の運転に支障を来すからだ。 しかし、プルサーマルは元来、高速増殖炉が実用化されるまでの「つなぎ役」のはずである。ウランの利用効率は一般の原発(軽水炉)が0.5%で、プルサ−マルでも0.7%にすぎない。本格利用を目指すなら、消費したウラン以上のプルトニウムを生み出す高速増殖炉が必要になる。 だが、高速増殖炉についての国の取り組みは大幅に遅れている。ナトリウム事故を起こした「もんじゅ」は改良工事の安全審査に入ったものの実証炉建設など実用化計画は棚上げにされたままだ。 欧米先進各国も経済、技術の両面から高速増殖炉の開発から撤退しており、日本の高速増殖炉もいまだこんな初期の段階である。国は本当に核燃料サイクルを確立する気があるのか疑念が残る。 しかも、核燃料サイクルの先行きは不透明だ。使用済み核燃料は現在、年間約九百トン発生しており二〇一〇年には千四百トンに達する見込みだ。ところが六ケ所の再処理工場だけでプルサーマル十六ー十八基分は賄える計算になる。 余った分はどうなるのか。国と電力会社は、六ケ所村の再処理工場の能力(年間八百トン)を超える分については、原発の敷地外に中間貯蔵する計画だ。だが使用済み核燃料をこのままため込んでいってよいものだろうか。 プルトニウムを大量に消費する高速増殖炉の実用化にめどが立たないのに、使用済み核燃料の全量再処理を前提にした国の核燃料サイクル政策に矛盾は生じないのか疑問だ。国や事業者はプルトニウム利用について国民の理解を求めたいとしている。だが、もうそろそろ現実に即した論議が必要な時ではないか。選択肢を明示し具体的な検討に入るべきだ。 |