• トップ
  • >
  • バックナンバー
  • 2018年5月17日(木)

景気失速への備え必要/1~3月期GDP

 1~3月期の実質国内総生産GDP)速報値は、前期比0.2%減、年率換算0.6%減で、9四半期(2年3カ月)ぶりのマイナス成長となった。個人消費と設備投資が減少に転じた上に、輸出の伸びが鈍化したためだ。輸出を支える世界経済の先行きには不確実性も多く、景気失速への備えが必要だ。

 GDPの2本柱のうち個人消費は前期比0.001%減(前期は0.2%増)と2四半期ぶりに、企業の設備投資は0.1%減(同0.6%増)と6四半期ぶりに、それぞれ減少。住宅投資も2.1%減と落ち込みが続き、内需は軒並み不振だった。景気回復を主導してきた輸出も0.6%増と急減速した。

 景気の一時的な足踏みにすぎないとの見方が多いが、それほど楽観できない。特に問題なのは、GDPの約6割を占め景気の本格回復の鍵を握る個人消費が、スマートフォンの販売減や野菜価格の高騰で冷え込んだことだ。好調だった輸出が勢いを失ったのも懸念される。景気のけん引役の不在が鮮明になっている。

 足元の経済指標はまちまちである。日銀の3月の企業短期経済観測調査(短観)は、大企業製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)が2年ぶりに悪化し、先行きも下落が見込まれている。一方で3月の景気動向指数と4月の景気ウオッチャー調査は、2カ月連続で改善している。

 上場企業の3月期決算の純利益合計は過去最高を更新する見通しで、企業業績は好調だ。これが個人消費の拡大に直結していない。3月の2人以上世帯の家計調査でも、1世帯当たりの実質消費支出は前年同月比で2カ月連続のマイナスとなった。

 しかし、完全失業率有効求人倍率など雇用指標は改善傾向が続いており、そろそろ賃金の本格的な上昇から消費拡大への流れが期待できるかもしれない。3月の毎月勤労統計調査で、1人当たりの現金給与総額が前年同月比2.1%増と、14年9カ月ぶりの高い伸びとなったのは明るい材料だ。今後の雇用と賃金の動向に注目したい。

 今後の世界経済には不安要因が少なくない。海外経済が変調に陥れば、日本の輸出は打撃を受ける。輸出頼みが変わらない限り、状況次第で景気が腰折れする可能性は決して小さくない。政府は財政措置を伴う景気対策を実施できる準備をしておくべきだ。

モバイルサイトのご案内

広告掲載のご案内