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  • 2018年5月3日(木)

なぜ必要か 議論深めたい/自民の改憲案

 日本国憲法は1947年の施行から71年を迎えた。この1年間、自民党は憲法改正の議論を進め、9条など4項目に関して改正の条文案をまとめた。昨年の憲法記念日に安倍晋三首相が提起した2020年の改正憲法施行という目標に向けた議論だ。

 だが国民の間に改憲論議の機運は高まっていない。それは共同通信社の郵送世論調査でも明確だ。自民党の改憲4項目の全てに関し、「反対」や「不要」などの否定的意見が肯定的な意見を上回った。安倍首相の下での改憲に「反対」が61%と「賛成」の38%を大きく上回ったのは、政権への厳しい視線を反映したものだろう。

 自民党の改憲案への支持はなぜ広がらないのか。説明不足の側面もあろう。だが、より本質的な問題は議論が条文の文言修正に終始し、必要性や緊急性という説得力を伴っていないことだろう。

 9条改正では、首相の提案に沿って「戦力不保持」を定めた2項を残したまま「必要な自衛のための実力組織」として「自衛隊を保持する」との条文を加える案をまとめた。ただ首相は改正でも「自衛隊の任務、権限に変更は生じない」と強調する。ではなぜあえて改正する必要があるのか。「必要な自衛の措置」の解釈によっては集団的自衛権の全面的な行使容認につながるとの指摘もある。平和主義からの逸脱にならないか。

 今取り組むべきなのは統治機構の課題だ。森友、加計疑惑で追及を受けた首相は昨年、憲法に基づいて野党が求めた臨時国会の召集に応じず、任期を1年以上も残して衆院を解散した。

 森友、加計問題は政権中枢に近い人が特例的な優遇措置を受けたのではないかという疑惑だ。権力の行使に制約を課す憲法の精神に反する事案ではないか。国会に提出された公文書の改ざんは「国民主権」を欺く行為であり、自衛隊の日報隠蔽(いんぺい)は文民による統制の現状に疑義を突きつけた。首相の解散権や統治の在り方を憲法の理念に立脚して再考する必要がある。

 憲法の基本理念は、具体的な規律を定めたものではない。求めているのは、理念に基づいて各条文の意味を考え、その実現に向けて何を行うべきかを国民が決めていくという主体的な取り組みだ。何度でも理念に立ち返り、政治や社会のあるべき姿を考え続けたい。

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