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  • 2018年3月17日(土)

政治不信の解消が先だ/自民党の改憲論議

 自民党の憲法改正論議が、改憲案の条文化に向けて大詰めの段階に入っている。党の改憲推進本部は、焦点の9条について条文案の意見集約を図り、25日の党大会で、緊急事態条項の新設、参院選「合区」解消、教育の無償化・充実強化と併せ、計4項目の改憲案の方向性を示す方針だ。

 党の改憲論議は、安倍晋三首相が昨年5月に2020年までの改正憲法の施行を目指すと表明したのを受けて始まった。

 しかし安倍政権は今、森友学園に関する財務省の決裁文書改ざん問題で、厳しい批判の中にある。この政権に、国の基本的原理を定める憲法の改正論議を主導する資格があるのだろうか。政権が今、取り組むべきなのは森友問題の真相の徹底解明による政治不信の解消である。

 森友問題で、国会の憲法審査会は開催日程の各党協議にすら入れない状態だ。安倍首相は「憲法審査会の静かな環境の下で議論を深めてもらいたい」と、しばしば強調してきたが、今の政治状況は「静かな環境」とは程遠い。

 与党である公明党の北側一雄憲法調査会長は「憲法審査会の場に改正原案が出て来る段階には至っていない」と、自民党の動きには同調しない考えを表明。改憲を主張する日本維新の会の馬場伸幸幹事長も「混乱した中で議論すれば、感情的な判断が優先される懸念がある」と指摘した。

 一方、9条改正案について、自民党改憲推進本部の細田博之本部長は全体会合で7案を提示した。その中で、戦力の不保持を規定した2項を維持した上で、新設の「9条の2」に「必要最小限度の実力組織としての自衛隊」を明記する案を軸に意見集約を図る構えだという。

 これは加憲案でも「自衛隊の任務や権限は変わらない」とする安倍首相の意向を踏まえた内容だ。

 しかし、線引きの曖昧な「必要最小限度」という文言に基づいて自衛隊を明記すれば、その活動や装備が拡大し、2項は事実上空文化する恐れが指摘されている。

 既に条文案が固まっている参院選の「合区」解消案では「1票の価値の平等」との整合性が問われる。無償化の明記を見送った教育充実は、教育を受ける権利を定めた26条への3項新設などに対し慎重な検討が求められる。政治が混乱している現状での拙速な集約は慎むべきだ。

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