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  • 2018年2月15日(木)

「誰のため」に立ち返れ/働き方改革法案

 働き方改革関連法案を巡って与野党が論戦を展開している。政府は残業時間の規制とともに、裁量労働制の拡大や高度プロフェッショナル制度高プロ)導入などを盛り込んだ8法案を一本化して今国会提出を目指している。

 「多様な働き方」という看板が掲げられ、慢性的な人手不足にさらされる働かせる側の意向が随所にちりばめられる一方で、働く側が置き去りにされつつあるという見方は根強い。誰のための改革なのか。国会論戦では、そこに立ち返り、議論を尽くす必要がある。

 少子高齢化で労働人口の減少が止まらない。罰則付きの残業規制で長時間労働を是正すれば、仕事と家庭の両立が可能になり、女性は就労しやすくなる。高齢者も働きやすい。さらに「同一労働同一賃金」によりパートや契約社員など非正規の待遇改善を図り生産性の向上、ひいては経済成長につなげていく。改革の向こうに政府はそんな絵を描いてみせる。

 議論の中心となっているのは裁量労働制の拡大、高プロ導入といった規制緩和策だ。

 裁量労働制は実際に働いた時間にかかわらず、事前に決めた分だけ働いたとみなす仕組みだ。安倍晋三首相はきのうの衆院予算委員会で、裁量労働制を巡って、働く時間の縮減効果を強調する過去の答弁を撤回した。根拠としていた厚生労働省の調査の信頼性に疑義が生じたためだ。制度の根本的な評価が揺らいだ。野党側は「法案の提出方針を撤回すべき」などと反発、さらに追及する構えを見せている。

 また、高プロ導入で年収1075万円を超える一部専門職は残業規制から外れる。休日取得といった健康確保措置が設けられるが、野党は「残業代ゼロ法案」と反対する。

 残業規制について厚労省は中小企業に限り、適用を1年延期する修正案を自民党に提示した。同一労働同一賃金や中小企業の残業代割増率引き上げも遅らせる。「人手不足に残業規制が重なると、労働力が確保できなくなる」という中小企業の窮状に配慮したとしているが、そこで働く人たちの期待は裏切られた形になった。

 働く人のための改革となるか、不透明になりつつあると言わざるを得ない。改革の実効性を確保するために何ができるかを、しっかり議論することが求められる。

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