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  • 2017年3月16日(木)

誘客の素材磨き上げを/べこもちで地域活性化

 下北半島などに伝わる郷土菓子「べこもち」が誘客や地域振興の素材として、大きく注目されている。旅行会社や外国人客などを対象とした下北地方のモニターツアーに数多く組み込まれるようになっており、参加者から好評を得ている。先月、むつ市の高校生たちが地域活性化策を競った高校生元気ふるさとアイデア選挙では「べこもちコンテスト開催」の提案が最優秀賞を獲得した。地域や世代を超えてべこもちへ魅力を感じる人が広がりつつある。

 べこもちは、米粉や砂糖などを練り合わせた色違いの生地を何本も組み合わせて作る。もともとは華やかな模様ではなかったが、地域の女性たちが技法に工夫を凝らして細やかな花模様などを表現するようになった。工芸性の高さに、生涯学習事業などに取り組む東京都の企業「オールアバウトライフワークス」が着目。同社は昨年8月、むつ市と協定を結び、べこもちの絵柄を現代的にアレンジした「デコもち」として普及させる講座を始めた。既に約200人が講座を修了してデコもち講師に認定され、各講師が全国各地で講座を開くようになっている。

 このような機運をとらえ、むつ市は新年度の事業として子どもから大人までを対象としたべこもち作りの講習会や、べこもちのデザインコンテストを開くことなどを考えている。また、べこもち作り体験と宿泊を組み合わせたプログラムをふるさと納税の返礼品に加えることも検討中だ。下北郡の町村も土産品の開発や、ツアーの体験メニューにべこもちを活用している。

 べこもち作りでは、組み上げたもちを切った瞬間、きれいな模様が出現する。感激した観光客たちは自作のべこもちを写真に収めてインターネットなどで発信したり、おみやげとして持ち帰り知人に自慢しているという。

 べこもちは伝統的な食文化であり、工芸的要素のある生活文化でもある。地域住民が集まって和気あいあいと作ったり、親子や友人同士が一緒に作ればコミュニケーションが深まる。高齢者たちが教える役割を担えば、生きがいづくりにもつながるだろう。べこもちが地域の宝であることを再認識したい。担い手不足で廃れてしまわないよう大切に継承しつつ、一方では誘客の素材として新たな発想というスパイスを効かせ、一層の磨き上げを図りたい。

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