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  • 2017年3月14日(火)

官民で明確な将来像を/陸奥湊駅前の再開発

 八戸市が、同市湊町のJR陸奥湊駅前の再開発を行う意向を表明した。老朽化した市営魚菜小売市場の建て替えを核に、民間の再開発計画と一体的に検討する。魚介類を中心とした市場街の風情が残る同駅前は、市民の台所としてだけでなく、朝市の観光スポットとしても欠かせない場となっている。同駅前を含む湊地区の再生は長年の懸案で、今後の行方が注目される。

 市営市場は1953年に開設された。67年に現在の鉄筋コンクリート2階建てに改築されてから50年がたった。隣接する民間の魚菜市場も老朽化が進んでいる。2006年度に地権者らが同駅前地区の再開発準備組合を設立。市は推進計画をまとめたが、18億円前後に上る総事業費が地元に重い負担となるため、具体化しなかった。

 市は今回、17年度当初予算案に約2500万円の調査費を盛り込んだ。新たな市場の基本コンセプトや運営体制などを調査し、より実施段階に近い事業計画やスケジュールを立てる予定としている。

 市営市場は近年、場内で買った刺し身や焼き魚などをおかずに食べる朝食が受け、観光客の人気が高まっている。建て替えに当たっては、昭和の雰囲気や、古さが醸す味わいをどう引き継ぐかが課題となる。これまでも検討されてきた課題ではあるが、「みなと八戸の顔」といわれる駅前の将来像を再度、しっかりと描いてほしい。

 守るだけでなく、新たな要素を加えることも必要だろう。市は湊地区や隣接する小中野地区のほか、八戸圏域の物産団体などの出店意向も調査することにしている。同駅前はかつて、「ガンガラ部隊」と呼ばれる行商でにぎわい、市内外のモノや情報が行き交う場でもあった。圏域の魅力をどんな形で織り込むか、アイデアが問われる。同じ食のスポットとして、河原木地区の八食センターとの違いをどう打ち出すかも鍵となる。

 再開発について、地元関係者には期待と不安が入り交じる。ピーク時に200を超えていた市営市場の出店数は約30まで減り、「イサバのカッチャ」と呼ばれる出店者は60~70代が大半となっている。新市場に移るかどうか判断が分かれる可能性もある。市場の魅力は、カッチャたちの存在によるところが大きい。事業が順調に進んでも、建て替えまでには相応の年数がかかる。時間との勝負でもある。

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