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  • 2017年2月17日(金)

特異な体制に警戒強めよ/北朝鮮情勢

 北朝鮮の故金正日(キムジョンイル)総書記の長男で、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の異母兄である金正男(キムジョンナム)氏が滞在先のマレーシアで殺害された。全容はまだ解明されていないが、韓国政府は北朝鮮の情報機関が犯行を主導したとみている。これが事実なら驚愕(きょうがく)すべきことだ。

 日米首脳会談に合わせ「北極星2」と称する新型の中距離弾道ミサイルを発射、北東アジアの緊張をさらに高めた北朝鮮は、対外的にも国内統治でも独善的で強硬な路線を突き進んでいることになる。

 金正恩体制と向き合わなければならない日米韓など関係国は、これまで以上に北朝鮮の動向を綿密に分析し、有事を含むあらゆる局面を想定して警戒を強めなければならない。

 特に、日本人拉致問題という深刻な課題を抱える日本は、予測が難しい金正恩体制と今後、どのような交渉が可能なのかを改めて検討することが迫られている。

 金正男氏は、中国型の改革・開放路線を評価し、マカオや東南アジア、欧州を飛び回りながらIT分野を中心としたビジネスを展開、北朝鮮の経済再建に寄与しようとしていたとされる。

 しかし、長期にわたる海外生活で時として外国メディアの取材に応じ、3代世襲という権力継承の在り方に対する疑問を幾度となく表明したことが、金正恩体制を怒らせたとされる。

 過去にも、北朝鮮の最高指導者につながる親族の中で、韓国に亡命し北朝鮮の内情を暴露するなどして反発を買い、北朝鮮から派遣された工作員に殺害された人物がいた。体制側の人間であっても、反体制的な言動を示せば、命を奪われる危険もあるのだ。

 これは封建時代のような昔話ではない。21世紀にもこうした体制が存在しているという現実は、北朝鮮の特異性を物語る。しかし、それでも核・ミサイル開発や拉致問題の解決のために北朝鮮に対応しなければならないというのも現実なのだ。

 北朝鮮は年頭から、米国本土に到達する大陸間弾道ミサイル(ICBM)の試験発射を予告している。今後もICBMの完成に向け、開発段階ごとにさまざまなタイプのミサイル発射を繰り返すことが予想される。ミサイル防衛システムの精度向上はもとより、日米韓が一体となった外交的、軍事的な抑止力強化が必要だろう。

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