鶴田町
  • スチューベン

  •  鶴田町と東奥日報社は10日、地域の食材にスポットを当てるイベント「食の味力発見in鶴田町」を同町の道の駅つるた「鶴の里 あるじゃ」で開いた。テーマはブドウ「スチューベン」。「あるじゃ」オリジナルの「スチューベン大福」を先着100人に振る舞った。
「日本一」旗印に販路拡大
  • 写真成田さんの園地で、一房ずつ大事そうにスチューベンを収穫する園児たち=9月28日、鶴田町境
  • これが味力

    スチューベン大福

    写真 道の駅つるた「鶴の里 あるじゃ」で販売されているスチューベン加工品の中で1番人気を誇る。年間売り上げ約10万個という大ヒット商品。薄紫色の皮の中に餡(あん)。頬張るとスチューベンの爽やかな甘酸っぱさが口中に広がる。見た目も味も「これは確かにブドウからできた大福」と納得。「あるじゃ」でしか食べられない一品をぜひ、どうぞ。

 「(一房が)大きくて重~い」「すごく甘~い」。鶴田町の観光ぶどう園オープン前日の9月28日、もぎ取り体験に招待された町立中央保育所の園児たちの歓声が響いた。秋晴れの下、岩木山を望む同町境の園地には、たわわに実った大房のスチューベンがびっしり。園児たちは慎重にハサミで切り離し、一粒ずつ頬張りながら弾けそうな笑顔を見せていた。

 観光ぶどう園は町観光協会がスチューベン栽培農家の協力を得て収穫期に開いている。園児を招いた園地を経営する成田義弘さん(62)=津軽ぶどう協会会長=は、今年のスチューベンの出来について「雨が少なく天候に恵まれたため、生育が例年より1週間ほど早まった。出来は良く房が大きい。9月に入ってからの寒暖の差で糖度は例年以上です」と話す。

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 スチューベンは米国ニューヨークの農業試験場で育成され、日本には1952(昭和27)年に導入。本県には68年ごろに導入され、74年頃から栽培が本格化した。本県の生産量は全国の7~8割を占め中でも鶴田町は作付面積約100ヘクタール、収穫量は1200~1500トンで、ともに日本一を誇る。いわば「ニューヨーク生まれの津軽育ち」の品種だ。

 一般的に、ブドウは貯蔵性が低く鮮度が落ちやすいが、スチューベンは糖度が高い割に貯蔵性に優れる。その理由はブドウ糖と果糖に加え、甘さを持続させる特長があるショ糖を多く含むため。

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 スチューベンは例年、9月下旬から10月にかけて収穫し、翌年2月ごろまで低温貯蔵される。10月からゆうパックなどで全国へ発送、店頭にも並ぶ。出荷は10月下旬から年末年始にかけて本格化し、翌年2~3月まで販売される。「津軽の冬ぶどう」と呼ばれるゆえんだが、長期保存は、長年本県が培ってきたリンゴ貯蔵のノウハウが生かされている。

 鶴田町産のスチューベンは加工品の豊富さも魅力だ。加工品の開発・販売拠点となる同町の道の駅つるた「鶴の里 あるじゃ」には大人気のスチューベン大福をはじめスイーツ、ジュース、ジャム、サイダー、レトルトカレーなど多彩な商品がずらりと並ぶ。

 「鶴田には(木造の三連太鼓橋としては)日本最長の鶴の舞橋と、スチューベンという日本一が二つもある。これを生かさない手はない」と相川正光町長。県外でトップセールスを行うなど、全国ブランドを目指し突き進む。

来場者の声
  1. 写真

    多彩な加工品が魅力

    道の駅つるた「鶴の里 あるじゃ」職員
    成田 学史さん(36)

     「あるじゃ」には大福だけでなく、ジュースやサイダー、カレーなどスチューベンの加工品がたくさん。スチューベンクリーム入りのパンは普通サイズの約3倍の大きさで、人気商品の一つです。全国各地の道の駅の特産品も置いているので、ぜひ遊びに来てください。
  2. 写真

    スチューベン大好き

    愛知県愛西市
    山本 正子さん(67)

     昨年、青森を訪れたとき偶然スチューベン祭りが開かれていて、ブドウがとてもおいしかったので今年も来ました。  大福も本当においしい。食べた瞬間、ブドウの味が口に広がります。スチューベンの食べ放題も楽しみ。来年もまた来たいです。
  3. 写真

    甘さと酸味 初の食感

    福岡県宮若市
    松尾 翔太さん(21)

     オートバイで日本一周中の学生です。北海道から南下し青森県入り、五所川原市の立佞武多(たちねぷた)の館などを見てから振る舞い会場に立ち寄りました。スチューベン大福は甘さの中にほんのり酸味があり、初めての食感。青森県の人はとても温かいですね。
スチューベンについて聞きました
  • 須郷貞次郎さん

    <すごう・ていじろう 1947年、鶴田町生まれ。東京で電気メーカーなどに勤めた後、32歳で帰郷。父の後を継ぎ、転作ブドウや水稲など農業に従事。2000年3月の津軽ぶどう村設立以来、代表を務める>

  1. フクロウくん

    現在の販売状況は?

    有識者

     --鶴田町産のスチューベンは作付面積、生産量とも日本一。いまや全国各地へ届けられている。

     「津軽ぶどう村ではネット販売やゆうパックなどで、関東を中心に関西、九州まで発送しています。顧客リストはおよそ1万人。一番の基本は選果基準を厳しくし、顧客に最高のスチューベンをお届けすること。(スチューベンを入れる)化粧箱には会員生産者の氏名と顔写真を貼って、顧客と顔の見えるお付き合いを大切にし責任感を持って発送しています。万が一、クレームがくれば瞬時に代替品を発送します。規格外のスチューベンは生果出荷せずジュースなど加工品に回します。顧客あってこその販売です。顧客を大切にすることが販路拡大にもつながります」

  2. フクロウくん

    スチューベンの特長は?

    識者

     --ニューヨーク生まれの津軽育ちというスチューベン。「津軽の冬ぶどう」の名称通り、他のブドウとの端境期に最も多く出荷・発送される。

     「スチューベンは長期保存が利く品種。貯蔵中、酸味は少しずつ減少しますが、糖度は維持されるので、より甘く感じます。他の国内産ブドウがなくなってから出荷・発送が本格化し、ピークは年末年始です。中には3月ごろまで出荷・発送する会員生産者もいます。また、低温による長期保存には、本県の長年のリンゴ貯蔵技術がベースにあることも忘れてはなりません」

  3. フクロウくん

    今後の目標は?

    識者

     --「つるたスチューベン日本一推進協議会」を組織したり、町長自ら県外でトップセールスを行うなど、町内各団体や行政も全国ブランド化を目指している。

     「鶴田町のスチューベンの年間販売額は5億円前後。これを10億円産業にしたいですね。そのためには作付面積を200ヘクタール程度まで拡大する必要があります。また、地元で採れたスチューベンでぜひワインを製造したいと思っています。そのための第一歩として最近、鶴田町ワイン・ワイナリー研究会を立ち上げました」