田舎館村
  • 田舎館米

  •  田舎館村と東奥日報社は28日、地域の食材にスポットを当てるイベント「食の味力発見in田舎館村」を村総合案内所「遊稲(ゆうとう)の館」で開いた。テーマは「古代米」。古代米を使った特製おはぎや古代米エキス入り「遊稲サイダー」をそれぞれ来場者に振る舞った。
アートで世界に発信
  • 写真城郭のような村役場近くの田んぼアート第1会場で、1800人が一斉に苗を手にした田植え体験ツアー。参加者が笑顔で、あぜから苗を追加で受け取る場面も=5月31日
  • これが味力

    古代米 サイダー&おはぎ

    写真 村総合案内所「遊稲の館」の喫茶コーナーの軽食。おはぎは、もちやうるちの田舎館米と古代米を混ぜたご飯類で、あんこを包んだもの。1個150円。「遊稲サイダー」は、独自の製法で抽出した古代米エキスを炭酸水で割った色鮮やかな一杯。1杯200円。温かい飲み物「米(マイ)ティー」も開発中。

 役場庁舎は、城郭をイメージした和風の外観ながら、海外にも目を向けている。

 村内で見つかった弥生時代中期(2100年前)の水田跡にちなみ、古代米も使って田舎館米をPRする田んぼアート。精巧な描写で芸術性が増し、海外でも高く評価されるようになった。村側は著作権に配慮しつつ、外国人によるネット発信も念頭に図案を選ぶ。

 23年目を迎えた今年の図柄は、第1会場が洋画「風と共に去りぬ」、第2会場が今年公開の「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」。岩木山を図案に取り上げた当初は緑、黄、紫の3色のみだったが、現在は11種7色(緑、黄、紫、濃い緑、白、赤、オレンジ)。隣り黒石市の県産業技術センター農林総合研究所から、観賞用稲の種子を毎年購入している。

 村民の挑戦は続いた。「太ったモナリザ」。2003年、見学者の感想帳に残された批評を契機に、遠近法を村民の協力で取り入れ、後に測量技術も導入した。農協女性部長として1回目から田植えをする肥後ゑ子さん(76)は「とにかく、この小さな村の人たちが協力し合っていることが素晴らしい」と話す。06年、手の込んだ「風神・雷神」が鮮やかに浮かび上がったときの感動が思い出深いという。

 村側の努力は実り、入場者数は右肩上がり。昨年は30万人近くに達した。13年には、展望台の入場料を活用して、弘南鉄道に「田んぼアート駅」を整備した。

 地元関係者が警戒するのが苗の取り違え。図案通りに稲が育つか、不安と期待の中で過ごすという。特に白色の稲は成長するまで色が判別できない。そのため、修正のための補植も見込んで作付けする。実際に苗の取り違えが見つかり、植え替えたこともある。

 今年5月末に行われた田植え体験ツアーの参加者は、過去最多の1800人に上った。

 地元農家や運動着姿の若者、台湾からの修学旅行生…。田植え当日、老若男女が泥にまみれ、苗を手に、1.5ヘクタールの巨大なキャンバスに点描した。青空の下、息子と参加した近くに住む工藤優さん(38)は「田植えは毎年恒例の楽しみ。散歩しながら、色づき具合を見に来ますよ」。秋田県湯沢市の50代女性は「関東に住む子どもに『あの辺を植えたんだよ』と見せたい」と胸を膨らませた。

 田んぼアートを主催する村むらおこし推進協議会の会長・鈴木孝雄村長は参加者全員に、「色づく時季にまたお会いしましょう」と呼び掛けた。多くの心が一つになった芸術作品。7月中旬から見ごろとなる。

来場者の声
  1. 写真

    心込めておはぎ作り

    村「田園」未来を築く会
    工藤 千賀子さん

     田舎館村ならではの古代米を使ったおはぎはスタッフ一同、心を込めて作っています。ぜひ食べてみてください。また、遊稲の館と村埋蔵文化財センター・博物館では、青森県の稲作の原点、米作りの歴史が分かります。こちらもご来場をお待ちしています。
  2. 写真

    米の歯ごたえが魅力

    千葉県市川市
    高橋 一孔さん

     妻の実家の青森市に帰省中、新聞でイベントを知りやって来ました。おはぎが大好物なので、ぜひ食べたいと思って。古代米入りおはぎは米の歯ごたえともちもち感があり、本当においしい。田んぼアートも、これまで2回ほど見て楽しませてもらいました。
  3. 写真

    また飲みたくなる味

    弘前市
    佐藤 征子さん

     弘前から姉妹で遊びに来ました。古代米入り「遊稲サイダー」は初めて。とても気になっていました。普通のサイダーとはちょっと違いますね。色合いもすてきだし、ほんのり米の風味があって、後味がすっきりしています。一度味わうとまた飲みたくなる味です。
田舎館村の田舎館米について聞きました
  • 小野正幸さん(「田園」未来を築く会会長)

    <おの・まさゆき 1953年、田舎館村生まれ。村内で設計事務所を経営。2005年より現職。田んぼアートなどを主催する「村むらおこし推進協議会」の検討委員の一人>

  1. フクロウくん

    ●村と米の関わりは?

    識者

     --田舎館村は、10アール当たりの収量日本一に、過去11回も輝いた米どころ。村に目立った観光資源がなかったものの、今では田んぼアートが、田舎館米を知ってもらう機会につながっている。

     「田舎館村は、はるか遠くの東に八甲田、西に岩木山を望み、周囲には田園風景が広がる米どころです。肥沃な土壌に恵まれ、関係者の努力もあって『田んぼアートの村』として注目されるようになりました。このように花を咲かせることができるも、今から2100年前の弥生時代中期から、この地で脈々と米づくりが受け継がれていたからこそと思います」

  2. フクロウくん

    ●古代の米づくりは?

    識者

     --34年前、垂柳遺跡に水田跡が見つかり、弥生時代の稲作北限の定説を覆した。現在、遺跡近くに整備された村総合案内所「遊稲の館」では、田植えや稲刈り、脱穀など米づくりを体験できる。

     「遊稲の館の体験田は縦横3.5メートルと、弥生時代の田んぼを復元したものです。オーナー制で黄、黒、緑の3色の稲を使って、思い思いに好きな図柄の『ミニ田んぼアート』に挑戦することができます。『田園』未来を築く会が7年前から指定管理者として管理・運営しています」

     「道の駅近くの『村埋蔵文化財センター』も管理・運営しています。本物の水田跡を見るだけでなく、見て触って歩くこともできるのが特長。水田跡の発掘調査では、親子のものと見られる大小の足跡も見つかりました。『当時も親子で岩木山を眺めながら米づくりをしたのかな』などと、イメージを膨らませるとロマンが湧いてきませんか」

  3. フクロウくん

    ●今後の課題は?

    識者

     --品種改良、大規模経営、米余り…。弥生時代に比べて大きく変わった現代の米づくり。田んぼアートに限らず、独自の活動を展開して、田舎館米や米づくりの魅力を伝えようとしている。28日には「発見!体験!田んぼアートの原点」を開催し、垂柳遺跡のガイドツアーなどを行った。

     「米づくりの魅力や食のありがたさやを伝えるのが目的です。『どろリンピック』や古代米の『3色うどん』打ち、餅つき、古代米リースづくりなどを企画し、草木染にも挑戦しました。さらにイベントを開き、若手の入会も図りたいです」