2005年10月21日(金) 東奥日報 連載

「50年」の選択/むつ・中間貯蔵施設立地へ

■ (下)建前論議/「第二再処理」は不透明

 「(使用済み核燃料の)一時貯蔵なのだから、当然、お持ち帰りいただく。(これは)事業者と共通の認識であるべきだ」。三村申吾知事が、中間貯蔵施設の立地同意を正式表明した十九日午前の記者会見。使用済み核燃料の搬出先とされる「第二再処理工場」が建設されないことが明確になった場合の対応を問われ、三村知事はこう述べた。

 「知事の言われる通りであります」。同日夕、青森市内のホテルで協定書への調印を済ませた東京電力の勝俣恒久社長は、三村知事に同調する考えを会見で強調した。

 貯蔵された使用済み核燃料が再処理されず、半永久的に放置されるのではないか−。こんな不安を払しょくするため、三村知事は関係閣僚と会談し、貯蔵終了後は確実に使用済み核燃料が搬出される確約を得たという。中川昭一経済産業相からは「中間貯蔵された使用済み核燃料は最終的にはすべて再処理される」との発言まであった。

柔軟性持たせる役割

 中間貯蔵は、時間的な余裕を持たせ、使用済み核燃料を再処理するか、直接処分するか、政策に柔軟性を持たせるのが本来の役割。貯蔵期間中に高速増殖炉が実用化され、再処理技術が進んでいれば、再処理すればいいし、そうでなければ直接処分すればいい−という考え方だ。核燃料サイクルの先進国フランスでさえ、再処理しているのは使用済み核燃料の発生量の三分の二で、三百年に及ぶ使用済み核燃料の保管も検討されている。

 「NIMBYシンドローム考−迷惑施設の政治と経済」などの著書がある福島大学の清水修二教授は「操業四十年目までに搬出先に関する協議を始めるという東京電力の説明は、話している方も聞いている方も本気じゃない。取りあえず、こう話しておけば、その場を取り繕えるというだけだ。五十年先に核燃料サイクルが国策として予定通り進んでいる、と本気で考えている人がどれだけいるのか」と話す。

原発運転停止を危ぐ

 中間貯蔵に関する本音の議論を阻んでいるのは、六ケ所再処理工場への使用済み核燃料搬入に際して日本原燃が一九九八年に県、六ケ所村と取り交わした「覚書」の存在だ。覚書は、再処理が困難になった場合、使用済み核燃料の施設外への搬出を含めて適切な措置を講ずる−との内容。

 「再処理しない使用済み核燃料は持ち去れ−というのが青森県の基本方針であることを考えると、貯蔵後の使用済み核燃料は再処理しない、とはさすがに言えない。本当はわれわれも再処理されるとは思っていないのだが…」と東京電力社員。

 事業者や国が建前論を押し通してでも中間貯蔵施設立地に躍起になっているのは、使用済み核燃料を一時保管している原発内のプールが満杯となり、原発が運転停止に追い込まれる危険性があるためだ。唯一の搬出先の六ケ所再処理工場も順調に稼働する保証はない。

 県幹部は「中間貯蔵が必要なのは、再処理事業がうまく進んでいないからで、あんなものは本当は必要ない。しかし、企業誘致もままならない下北地域では、原子力施設だって悪い選択肢とは言えない。働く場がどうしても必要だ」と話す。

 景気の動向と一致するとされる有効求人倍率。本県は〇・四〇倍(八月)で、全国最下位の状況が三十八カ月も続いている。中間貯蔵施設の安定操業時の従業員は三十人程度だが、建設時には延べ二十一万人の雇用が見込まれるという。


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