| 2001年6月30日(土) |
県はこの春から、ITER(国際熱核融合実験炉)の誘致を訴える要請活動を強化した。 六月に入ると木村守男知事や山口柾義副知事ら県幹部が、ほぼ週に一度のペースで文部科学省や内閣府など関係省庁を繰り返し訪ねるようになった。 透けて見える自信 一方、本県が最大のライバルととらえる茨城県では、橋本昌知事が関係省庁に要請したのは今年に入って五月三十一日の一度だけ。「うちはうち、立場を踏まえた取り組み」(茨城県地域計画課)という言葉の裏には「那珂町有利」という絶対の自信が透けて見える。 同町では、ITERに直結する実験施設といえる日本原子力研究所那珂研究所の臨界プラズマ試験装置JT−60が運転中。またITER工学設計活動の国際的な共同研究チームの拠点があるなど、実績は群を抜く。さらに首都圏へのアクセスに優れ「原子力研究の集積地である東海村やつくば研究学園都市に近く、学術研究には適地」(同課)と、他候補地より優位に立つ。 しかし、課題もある。運転中で年間四千トン、廃炉時で三万五千トンとされる低レベル放射性廃棄物の保管・処分をどうするか、国が求めている最大六百トンの機器輸送に耐える道路の確保は可能か−などだ。同課は「廃棄物処分の方針は決まっていない」としながらも、東海村の原発などでの保管実績を訴える。また道路も既存の一般道を改装するとしている。 本県の場合、機材輸送には広大な土地を活用して専用道の敷設も可能。また廃棄物の処分では、六ケ所村に低レベル放射性廃棄物埋設センターという実績があるものの、地元住民を含めた県民の理解が大前提であることはいうまでもない。 安全性説明万全期す サイト選定に当たり、国は地域住民の理解を重視している。茨城県はITERの安全性を評価した独自の報告書を三月にまとめた。同課の諏訪原守課長は「東海村臨界事故の影響は残っており、県民には中性子が怖い−という声がある」と、引き続き安全性の説明に万全を期する構えだ。これに対し本県は「低レベル廃棄物も含め、ITERの光と影を県民に伝えなければならない」(蝦名武県商工観光労働部長)というが、茨城県に比べ対応の遅れは否めない。 「この四月に那珂研究所を視察した際、私の質問に研究者は『研究所の近くにITERが建設されなくても構わない』と答えた」。木村知事は事あるごとにこのエピソードを持ち出し、茨城県に比べ本県が不利でないことを強調する。 しかし元文部大臣・科学技術庁長官の大島理森自民党国対委員長は、本県のとるべき姿勢についてこう話す。「周辺の研究施設やマンパワーを客観的に見たとき“人的インフラ”が弱いところだ−との認識を持ちつつ、総合的評価を念頭に努力するべきではないか」 |