2001年8月28日(火) 東奥日報 連載



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■ 金属キャスク(下)/大規模化図れば割安

 キャスク貯蔵が注目されるようになったのは、大規模化した場合の経済性にある。

 総合エネルギー調査会(旧通産相の諮問機関)原子力部会がまとめた中間報告によると、使用済み核燃料五千トンを四十年間貯蔵した場合、資本費・運転費・輸送費を含めた貯蔵費用はプール貯蔵が二千九百九十七億円、キャスク貯蔵が千六百八億円と試算される。

 キャスク貯蔵の場合、建設費は資本費の一割弱の百五億円で、九割以上はキャスク費の千百九十五億円で占められるのが大きな特徴。

 使用済み核燃料一トン当たりの貯蔵単価を比較すると、キャスク貯蔵(三千百十九万円)はプール貯蔵(五千百八十三万円)の六割で済む計算だ。東京電力が立地を目指している中間貯蔵施設の規模が約五千トンと予想されているのも、経済性が理由の一つだ。

増設できるのも長所

 「貯蔵コストは、当初はプール貯蔵の方が安いのではないか−という考え方もあった。しかし、プールはフィルターを付けて水を循環させなければならない。そのための電源も必要だ。キャスク貯蔵は自然換気方式で、メンテナンスが容易。手が掛からない分、コストも安い」と東京電力・福島第一原発の小暮雄三広報部長は話す。

 特注だったキャスクの値段は一基当たり数億円に上るが、大規模な中間貯蔵施設ができれば、量産効果が期待できる。プール貯蔵は、使用開始前から多額の投資が必要だが、キャスク貯蔵は必要な貯蔵量の分だけ増設できるのも長所だ。

 しかし、キャスクを超長期使用した場合の安全性を懸念する声もある。

 「使用済み核燃料は実際には超長期間、貯蔵されることになる。仮に製造当初は安全性が高いとしても、強力な放射線と高温に長期間さらされるキャスクや、内部の金属ガスケット(薄板状のパッキング)がどのくらいの期間、健全性を維持できるのか、きちんとしたデータは示されていない」とNPO「原子力資料情報室」(東京)の澤井正子さん。

 これに対し、小暮部長は「キャスクは四十年耐えられる設計だが、設計条件の四十年を過ぎたらすぐ壊れるということではない。原子炉も設計条件は四十年だが、十分にメンテナンスをすれば、六十年運転できると国からも評価してもらっている」と反論する。

海外で実績ある乾式

 日本原子力発電・東海第二発電所(茨城県東海村)も敷地内に乾式キャスク貯蔵施設(容量二百六十トン)を建設した。海外で実績がある−というのが乾式を選択した理由で、今秋から使用するという。

 「中間貯蔵施設は安全性が非常に高い施設で、原発敷地内に造ろう−という構想がないわけではない。実は、福島第二原発では地元の楢葉町長が『造りたい』と話していた時期があった。ただ、使用済み燃料は減らしていく−というのが今の福島県の基本的な考えだ」と小暮部長。

 使用済み核燃料は“核のごみ”ではなく、“リサイクル燃料資源”−という東京電力の論理も、「コストがどうでも、プルトニウムがどうでも、わが県には関係ない。使用済み燃料をどこかに持っていってくれればいい」(佐藤栄佐久・福島県知事)という原発立地県の主張には通用しないようだ。


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