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    ~3500歩の旅~
    五所川原市金木町
  • 地元に愛され名店健在

 読書の秋にふさわしく、作家太宰治の古里五所川原市金木町を回ってみよう-と思い、好天に恵まれた9月上旬、津軽鉄道金木駅をスタートした。土地勘のない街で不安だったが、地元のNPO法人かなぎ元気倶楽部の斎藤真紀子さん(46)を「助っ人」に頼み、駅から続く商店街のY字路を左へ。(三浦博史)

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▼366歩
写真「〓(まるいち)食堂」の木元タコさん(左)と斎藤さん=地図(1)【〓は〇の中に一】

 程なく通称メロス坂通り沿いに「〓(まるいち)食堂」ののれんが見えた。(〓は〇の中に一)

 地元では「三角床屋」の愛称で親しまれている街の食堂だ。由来は以前そこが理容店で、道路に沿った店の形が三角形であるところからきたという。理容店だった頃には、太宰も訪れたことがあったと伝わる。

 現在は店主木元一四(ひとし)さん(74)と妻タコさん(74)が店を切り盛りする。「前は『三角床屋』と宛先を書いただけで手紙が届いたそうです」とタコさん。評判のエビラーメンをいただいて散策再開。

▼1173歩
写真往事を懐かしむ「しらはる」の白川さん=地図(2)

 金木駅周辺の商店街には菓子店が多い。「お菓子のしらはる」もその一軒。創業54年、看板商品の一つが大きな栗まんじゅう「大栗」だ。「多い時には1日200個も売れた。かつては通りの往来がひっきりなしで銀座通りと呼ばれていた」と代表の白川誠治さん(77)は懐かしむ。

▼1350歩
写真バナナボートが人気「外崎菓子店」の外崎さん=地図(3)

 金木川に架かる朝日橋の近く、通称斜陽館通りにある「外崎菓子店」は大きなバナナボートが人気。バナナ1本を生クリームとカステラ生地でくるんだ商品はまとめ買いする人も多く、訪れた日も昼前にもかかわらず既に売り切れ。

 「青森や弘前から買いに来てくれるお客さんもいます」と店主の外崎裕幸さん(65)。これほど忙しいのにここ10年は朝夕、東奥日報紙を配達している。「体を動かしてお金ももらえる」と笑顔の外崎さんに感謝してお店を後に。

▼1776歩
写真「ふしみ菓子店」の伏見カツさん=地図(4)

 斜陽館通りを朝日橋手前で横切り、西へ続く仁太坊(にたぼう)通りにあるのが「ふしみ菓子店」。同地区の多くの菓子店が、練りあんを牛皮で包み、シソの葉でくるんだ和菓子「甘露梅(かんろばい)」を販売している。材料、作り方はほぼ同じだが、味は店によって特徴がある。

 店主伏見喜久夫さん(77)が作る甘露梅を妻カツさん(75)は「牛皮を作る時の練り方、シソの葉の塩味の具合にこだわりがある」と自信を持って薦める。

▼2190歩
写真大橋さんと金看板が並べられた店内=地図(5)

 緩い坂道を上った交差点の角にある「大橋薬店」。店内で金色に輝いているのは昭和初期に使われていた薬広告の金看板だ。ほかに明治から昭和にかけての地図や書類が並べられてある。

 店主大橋圭造さん(70)は古い地図を指し「金木町はかつて林業が盛んで、多くの製材所があった。良い木材が金のなる木ということで金木町になったとの説もあります」と説明する。

▼2391歩
写真「甘露梅」がお薦めと話す松島暸さん=地図(6)

 津軽三味線会館の近くにある「菓子司 松しま」の店頭には、数多くの和洋菓子が並ぶ。その中に青森市の「キーファルンバウム」の洋菓子も。松しまの松島暸さん(83)に聞くと、長男の浩人さん(57)が経営しているという。「最上級の原材料を使っています」とお薦めの甘露梅をいただいて帰途に就いた。観光客でにぎわう斜陽館を横目に、読書より食欲の秋を実感して金木駅に戻った。