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    ~5000歩の旅~
    むつ市・田名部五町
  • まつりつなぐ心意気

 下北半島最大の夏祭り「田名部まつり」が18日から始まる。開幕間近の週末の夜、雨が降る田名部五町を歩き、まつりの主役を張る男衆の姿を追った。(工藤洋平)

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写真山車の額に絵を張る豪川組の役員=地図(1)

 先山「稲荷山」を運行する豪川(ごうせん)組からスタート。午後7時すぎ、横迎町集会所では山車(やま)の額に絵を張る作業が進んでいた。「夜に明かりをともしたとき、絵がきれいに見える張り方を探っていました」と、幹事の成田恭兵さん(29)。絵柄や色合いを試行錯誤し、5回描き直したという。

 「題材は去年と一緒だけど、細かい部分が変わっていることに気づいてほしい」と願う成田さん。張り方をどうするかは「組頭(くみとう)に聞いてみます」。

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写真囃子を練習する乗子たち。中央は指導役の河野さん=地図(2)

 次は新町の新盛(しんせい)組へ。熊野神社で、乗子(のりこ)と呼ばれる中高生が車座になって囃子(はやし)を練習していた。

 「太鼓と声が合っていない」「今のは良かったぞ」。指導役の河野敬人さん(56)のはっきりとした声が響く。河野さんは「先輩から受け継いだ囃子を子どもたちへ、さらに次の世代へ残したい」と、20年ほど指導を続けている。

 今年、本格的に太鼓を始めた橋本歩希(あゆき)さん(田名部高1年、15歳)は「太鼓は囃子を引っ張る役目。本番ではみんなと息を合わせて、いい囃子を聞かせられたら」。気合を入れ直し、練習の輪に戻った。

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写真義勇組に約150年伝わる見送り絵の幕=地図(3)

 東奥日報社むつ支局近くの小川町集会所に集まる義勇(ぎゆう)組。玄関を入ると、阿部睦美組頭(37)から「ちょっと来て」と奥へ招かれた。

 「10年ぶりに、山車に飾ろうと思っているんだ」。見せてくれたのは、組に約150年伝わるという、鳳凰(ほうおう)に乗る仙人の姿が描かれた見送り絵の幕。阿部組頭は「いろいろな人の寄付で作った絵だから、大事に守ってきた。昔使っていた幕をまた見てもらって、懐かしいと思ってほしい」と、そっと幕に触れた。

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写真山車や看板を守る「三角」を作る共進組の役員=地図(4)

 ちょうちんがずらりとつり下げられた繁華街を足早に、共進(きょうしん)組の柳町神明宮社務所へ向かう。広間の片隅で、熱心に紙を折る人がいた。「大黒山」の看板と山車の間に挟む「三角」という道具だそうだ。

 「看板や山車は神様のもの。それが傷つかないようにするため」と教えてくれたのは菊池真壽(まさとし)さん(30)。今年から理事になった菊池さんは「華やかな運行の陰で、何百年も引き継いできた神事を支える裏方もかっこいいなって思う」。地味な作業だが、打ち込む姿は誇らしげだった。

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写真半纏姿で寄付集めに出掛ける明盛組の若者たち=地図(5)

 最後は今年の当番組、本町・田名部町の明盛(みょうせい)組。午後9時すぎ、まだいるかな。田名部町集会所を訪れると、奥から半纏(はんてん)姿の若者が。夜の町を回り、寄付を集めに行くそうだ。

 「行ってらっしゃい」。見送ったのは澤野泰朗組頭(36)。山車の運行や修繕に、寄付は欠かせない。澤野組頭は「地域の人に支えられてきたからこそ、まつりがずっと続いてきた。私たちの姿を見てもらい、まつりを未来へつなげることが、地域の人や先輩への恩返しです」と話す。若者たちが帰ってきたのは、午後10時半すぎだった。