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    ~4000歩の旅~
    黒石市温湯地区
  • こけしと温泉 街の顔

 黒石市中心部から車で10分。7月下旬の昼下がり、普段は歩くことの少ない温湯地区をスタート地点に散策することにした。日差しを避けるため、麦わら帽子をかぶって出発した。(山口拓郎)

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▼268歩
写真ガレージで踏み台を作っていた川原田さん=地図(1)

 5分も歩いただろうか。自宅のガレージで踏み台を作っていた川原田金一郎さん(72)と目が合った。「年を取ってただ寝転んでいてもダメだしね」。4年前に亡くなった父が鍛冶屋を営んでいたといい、ガレージにはさまざまな工具が並ぶ。踏み台は1時間ほどで仕上げたという。

▼820歩
写真風情ある建物が印象的な飯塚旅館。「ひのき風呂に入ってくつろいで」とおかみの飯塚さん=地図(2)

 南東に進んで行くと、趣のある木造の建物が現れた。飯塚旅館と表記がある。おかみの飯塚幸子さん(70)は「創業年数はわからないけど、建物は築100年ほどと聞いている」と言う。温湯地区には、共同浴場鶴の湯を取り囲むように客舎が立ち並ぶ。「うちは18年ほど前に内湯を付けた。ひのきの風呂に入ってくつろいでほしい」と飯塚さん。

▼2191歩
写真津軽こけし館の山田さんは「ぜひ一度見に来て」とPR=地図(3)

 歩みを進めると袋地区に入った。セミの鳴き声に混じって軽快な音楽が聞こえてきた。何度も取材で訪れている津軽こけし館だ。同館では現在、県内外の女性のこけしファンが集めたコレクションを展示しており、その数800点。「こけしにかぶりものを身に着けさせたり、雑貨と一緒に飾ったりと斬新です」と、同館部長の山田拓郎さん(33)。氏名が記者と酷似しているとあらためて笑いあった。

▼2359歩
写真落合共同浴場では常連さんが入浴中。記者には熱すぎて10秒ほどしか入れなかった=地図(4)

 30分以上歩いているとシャツが汗ばんできた。ちょうど落合共同浴場前に到着した。持参したタオルと、番台にいた伊藤ひさゑさん(74)から借りたシャンプーとせっけんを手に、料金150円を払って浴場へ足を踏み入れた。地元の常連さんがちらほら。「熱いから5分以上かけ湯をしてから入った方がいいよ」との助言に従ったが、湯船に入って10秒ほどで足先がしびれ、ゆっくりつかれなかった。熱い湯が好きな人にはいいだろう。

▼2855歩
写真寿司処「美鈴」のカウンターに立つ高橋さん=地図(5)

 東に進むと、黄色い外観の旅館「南風館」が見えてきた。同館と、併設する寿司(すし)処「美鈴」を営む高橋遵司さん(62)に声をかけ、店の休憩中に会話が弾んだ。開業して37年。当時は市内に何軒もすし店があったが、今は回転ずしを除くと専門店は美鈴のみだという。「旅館とすし屋の両方で食材をやりくりしているから新鮮なネタが出せる」と高橋さん。今度は営業時間中に来よう。

▼4311歩
写真中野もみじ山を散策していた登川さん=地図(6)

 落合大橋を渡って行くと、観光名所「中野もみじ山」に着いた。平日昼間とあって人影はほとんどない。そこに一人たたずむ女性の姿が。大分県から来たという登川早希さん(28)。県内を観光中だといい「ここにはいいエネルギーが流れている」。ミステリアスな雰囲気に思わず引き込まれそうだった。