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    ~6000歩の旅~
    八戸市
  • 「三社」巡り 歴史実感

 10月下旬、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の補助機関が八戸市の「八戸三社大祭の山車行事」を含む「山・鉾(ほこ)・屋台行事」を無形文化遺産に登録するよう勧告し、市民や関係者は喜びに沸いた。小春日和の午後、三社大祭「お通り」のコースをたどりながら、八戸が誇る夏祭りの主役「三社」をあらためて巡ってみた。(山内はるみ)

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写真おがみ神社の坂本宮司と、同神社に保管されている山車人形=地図(1)

 スタートはおがみ神社。三社大祭は1721(享保6)年、法霊神社(現在のおがみ神社)がみこし行列を仕立て長者山新羅神社に渡御したことが始まりといわれている。当初、山車は行列に加わっていなかったが、30年近くたった頃から人形を載せた屋台が登場したという記録がある。

 同神社は、1747(延享4)年と1833(天保4)年からあると伝えられる「太公望」と「武田信玄」の山車人形を保管している。身に着けている着物は色あせ、朽ちかけている。坂本守正宮司(67)に聞くと「作られた当時のまま残っているんですよ」。祭りや神社の歴史を詳しく教えてもらい、295年という時の深さを実感した。

※「おがみ神社」の「おがみ」は雨かんむりと「龍」の間に「口」が横にみっつ

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写真はっちに飾られている三社大祭のミニ山車とボランティアガイドの栗山さん=地図(2)

 この日は土曜日。中心街は家族連れらでにぎわっていた。八戸ポータルミュージアム「はっち」の2階へ上がると、小さな山車が飾ってあった。「これは、七福神と宝船がテーマになっていて、大きさは実物の5分の1ほどです」。そう解説してくれたのは、はっちのボランティアガイドを務める栗山尚武さん(72)。「子どもたちが三社大祭を好きになり、次の担い手として育ってくれたらうれしいですね」と笑顔を見せた。

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写真神明宮の境内にあるイチョウの木=地図(3)

 三社の二つ目、コースの半ば過ぎにある神明宮に到着。境内にある大きなイチョウの木が黄色い葉をまとい、青空によく映える。木のそばにある看板を見ると、高さ25~30メートル、幹回り約6.5メートルで、樹齢は600年以上。中居靖夫宮司(81)は「最近、寒くなってきたから、もうそろそろ葉っぱが落ちると思う。一面、黄色いじゅうたんになるよ」と、空に広がる大樹を見上げた。

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写真田中理容所の田中義裕さん(左)とツヤさん=地図(4)

 新荒町地区から糠塚平中地区へ国道340号を歩いていると、理美容店が多いことに気付く。そのうちの一つ、田中理容所にお邪魔すると、田中義裕さん(48)、ツヤさん(74)親子が優しく迎えてくれた。店の向かいには三社大祭の山車小屋があり、祭りの季節になると、はやしの練習でにぎやかになるのだそう。義裕さんとツヤさんは「音色を聞くと、いよいよ夏が来たな、今年はどんな山車なのかなとわくわくします」と声をそろえた。

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写真まつりんぐ広場の夕暮れ市に店を出す田村さん(右)と五戸さん=地図(5)

 出発から2時間以上がたち、日が暮れてきた。「長者まつりんぐ広場」では夕暮れ市が開かれていた。野菜や果物などを売るテントが15軒ほど並ぶ中、「いらっしゃい」と、ひときわ元気な声を掛けてくれたのは手作りの漬物を売る田村享子さん(73)と、お隣で季節の花を売る五戸トモさん(72)。「もう何十年も作り続けている自信の漬物。塩分控えめで、白いご飯にぴったりよ」と田村さん。話をしている間にも、お客さんが白菜漬けやキュウリのからし漬けなどを次々と買い求めていた。

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写真長者山新羅神社の桜の馬場=地図(6)

 まつりんぐ広場から緩く、長い坂道を上がるとゴール地点、長者山新羅神社だ。境内には、三社大祭中日に県無形民俗文化財の「加賀美流騎馬打毬(だきゅう)」が行われる「桜の馬場」があるが、辺りは日が暮れて真っ暗…。写真は後日撮ることにしよう。今年は小中学生2人が8年ぶりの新人騎士としてデビュー。また、毎年、向陵高校の生徒が馬を使わない「徒(かち)打毬」を披露している。柳川浩志宮司(78)は「若い方が伝統を守ってくれるのは大変喜ばしい」と話した。ユネスコの無形文化遺産登録は、順調なら30日にも正式決定する見込み。来年の八戸の夏は、例年以上に「熱く」なりそう。