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    ~3000歩の旅~
    五戸町
  • 笑顔あふれる坂の町

 五戸町は「坂の町」といわれる。起伏に富んだ地形が多く、町のイメージソング「大空へ続く坂道」を随所で実感できる。10月中旬、坂の途中にある五戸支局から出発し、坂の町の中心部などを散策した。(坂本光芳)

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▼255歩
写真木彫作品作りに励む米田さん=地図(1)

 ゆるやかな上り坂を中心街の方向へ進むと、十字路に差し掛かった。角にある米田佳造さん(77)の自宅の窓際には、仏像などの木彫作品が多数並んでいる。販売している店のように見えるが、展示しているだけという。米田さんは60代半ばで鉄工所の仕事を引退してから趣味で木彫を始め、これまで約400点もの作品を手掛けた。「木彫は木のやわらかな質感に癒やされるし、無になれるところがいい。興味のある人は気軽に立ち寄ってほしい」と話した。

▼960歩
写真防火パレードで火の用心を呼び掛ける園児たち=地図(2)

 五戸小学校前の十字路を左に折れ、しばらく歩くと園児たちによる防火パレードに出くわした。同町と新郷村から200人以上が参加し、拍子木を打ち鳴らしながら「火の用心」「みんなで火事をなくしましょう」などと呼び掛けた。パレードを見ていた同町の三浦信子さん(77)は「かわいい、かわいい」と目を細めた。ゴールは町図書館と聞き、ついて行った。

▼1454歩
写真展望タワーを備えた町図書館=地図(3)

 青森銀行五戸支店脇の急勾配の坂を下って町図書館に到着。ついでに立ち寄った。蔵書は約10万冊。高さ約26メートルの展望タワーや、戦後初の国産旅客機「YS11」の設計に携わった名誉町民・木村秀政博士を紹介するホールも備えている。隣には復元された五戸代官所もある。

 図書館職員の土嶺幸代さん(37)は「代官所の門は町文化財にも指定されていて一見の価値あり。タワーからの眺めもいいですよ」とPRした。

▼2009歩
写真減塩料理をPRする「のりこちゃんの台所『えがお』」の三浦さん=地図(4)

 昼食を取ろうと、「のりこちゃんの台所『えがお』」という店にお邪魔した。三浦徳(のり)子さん(59)が2010年4月から始めた食事もできる弁当・総菜販売店。コンブやアゴ(トビウオ)などのだしを生かした減塩料理が売りだという。「日替わり定食は20品目のおかずを目標に作っています。町民の健康づくりに貢献したい」と、店名通りの笑顔で話した。

 散策のゴールは、趣味で甲冑(かっちゅう)のレプリカなどを作っている根市隆(ゆたか)さん(81)の自宅。家までは、なだらかな上り坂がひたすら続いた。しばらくすると、道と空が接している光景が広がった。「大空へ続く坂道」と出合えた。

▼3488歩
写真趣味で作った甲冑のレプリカを紹介する根市さん=地図(5)

 根市さん宅にようやく到着。玄関では根市さんとともに、甲冑のレプリカ2領が出迎えてくれた。レプリカ作りは、櫛引八幡宮(八戸市)が所蔵する国宝の甲冑を見て、その芸術性に魅せられたのがきっかけ。郵便局勤めの傍ら、研究書などを参考にして54歳の時から取り組み、8領作った。制作は3年前にやめたが、甲冑は公民館やイベントで展示されたり、交通安全のポスターに使われたりしている。根市さんは「下手くそだけど、多くの人に見てもらえてうれしい」とにっこり。この日は肌寒かったものの、たくさんの温かい笑顔を見られた。