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    ~3000歩の旅~
    東通村尻労地区
  • のんびり“行き止まり”

 下北半島太平洋側の北部に位置する東通村尻労(しつかり)地区は、およそ400人が住むのどかな漁村。尻労という地名は、行き止まりを意味するアイヌ語から来ているのだとか。10月上旬のある平日の午前、晴天の下、カメラ片手に散策した。(白鳥遼)

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▼458歩
写真集落の中心部にある東商店。住民が食べ物などを買いに来る=地図(1)

 尻労漁村センターを出発し、県道を北東方面へ。左手に「東商店」が見えてきた。中に入ると店主の東ひろ子さん(72)が立っていた。食べ物を中心に日用品が並んでいる。

 「開店は何時ですか」と聞くと、「朝6時」と返ってきたからびっくり。「漁師町だから朝早くからみんなパンとか飲み物とか買っていくんですよ」と教えてくれた東さんは「今はみんな(店が豊富な)むつ市に行ってしまうので商売は大変だが、わい(私)が80歳になるまで店を続けたいね」と意気込んでいた。

▼810歩
写真尻労漁協に向かう途中に立っている看板。昼イカ釣り発祥の漁協だと書かれている=地図(2)

 尻労漁協方面に向かうと、「元祖昼いか釣り発祥の尻労漁協」と書かれた看板が唐突に立っていた。漁協に由来を聞きに行くと、前組合長の川端昭治さん(78)が詳しいとのことだった。

▼1645歩
写真釣りを楽しんでいた南谷さん夫婦。釣った魚を手にポーズ=地図(3)

 漁協を出ると漁港で釣りを楽しむ男女の姿。近くの尻屋地区から来ていた漁師の南谷彰人さん(34)と妻の杏里さん(32)は、この日はしけで漁がなく「あまりにも暇で来た」と笑った。八戸水産高校の先輩後輩の間柄だったという2人は仲むつまじそうで、話を聞くこちらもほっこり。お子さんは小中学生が3人いるという。サビキ釣りでアジやサバをポンポンと釣り、「きょうの夕食にします」。

▼2336歩
写真住民の生活を支える集落の事務所。五十嵐さんが窓口に座る=地図(4)

 中心部に戻り、集落の事務所へ。次から次へと人が出入りしている。事務員の五十嵐みさ子さん(61)によると、事務所は村役場と集落の中継ぎをする場所なのだとか。住民が役場に出す書類を取りまとめたり、道路や街灯に異常があれば情報を伝えたりといった具合だ。

 五十嵐さんは事務員を務めて18年。「お年寄りが多い集落なので、事務所はなくてはならないものだと思います。みんなに見られる仕事なので、緊張感がありますね」と話していた。

▼2490歩
写真昼イカ漁の発祥について説明する川端さん=地図(5)

 先ほど話に出た川端さんの自宅を伺った。夜のイカ漁が主流だったかつて、川端さんが先頭に立って夜行性であるイカを昼に捕る漁法を確立させ、広めたのだとか。昼の漁のコツは、群れがいつ、どこにいるかを熟知することだった。昼の漁であれば集魚灯を使わずに省エネであるし、時間帯の関係で鮮度保持にも良いと教えてくれた。そんな経緯もあり、集落のある個人が十数年前に看板を立てたのだという。なるほど。

▼2695歩
写真集落から見下ろせる猿ケ森砂丘。下北ジオパークの見どころの一つでもある=地図(6)

 海手に進むと、高台から国内最大級といわれる猿ケ森砂丘が見えた。太平洋岸に沿って位置するこの砂丘は南北約17キロにわたり、先日日本ジオパークに認定された下北ジオパークの見どころの一つ。眼前に広がる雄大な太平洋に心癒やされ、帰路に就いた。