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    ~3000歩の旅~
    むつ市大畑町
  • 人情あふれる漁師町

 津軽海峡に面した漁師町として知られ、薬研や桜並木など美しい自然にも恵まれるむつ市大畑町。盆が過ぎ、暑さもだいぶ落ち着いた8月下旬、中心街をぶらりと歩いた。大畑漁港から出発した。(白鳥遼)

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▼598歩
写真「商品の値段は低く抑えるようにしています」と語る「ケーキ屋タックン」の佐々木さん=地図(1)

 国道279号を進むと、甘い香りが漂ってきた。目に飛び込んできたのは人気店「ケーキ屋タックン」だ。オーナーシェフ佐々木卓臣さん(40)によると、取り扱いは人気のシュークリーム「カリットシュー」はじめ100商品以上。朝5時半ごろから開店準備が始まり、睡眠時間はたったの3~4時間と聞きびっくり。旧むつ市出身という佐々木さんは「大畑の人は温かい人ばかりで、仕事のやりがいもある」と充実した表情。シュークリームを一つくれた。食べると納得の味。こりゃうまい。

▼1570歩
写真広報紙を手に笑顔を見せるむつ署大畑駐在所の倉岡さん=地図(2)

 市役所大畑庁舎の方向に曲がり、大畑小学校方面へ。近くのむつ署大畑駐在所にお邪魔した。ベテランのおまわりさんで所長の倉岡秀彦さん(59)は「地域の方々に頼られたり感謝されたりした時は、この仕事をしていて良かったと思う」と話してくれた。事件事故のない街づくりは、住民の協力がなくてはならない―という話も説得力があった。

▼1972歩
写真大畑町の自慢である新鮮なイカが並ぶ橋本鮮魚店=地図(3)

 大畑町といえばイカ。駐在所の通りを道なりに進み郵便局を過ぎると、前沖で捕れたイカが並ぶ橋本鮮魚店。夫婦で店を営む橋本ノリ子さん(74)は「私は大畑のイカしか食べたことがないけど、市外から朝5時に買いに来てくれるくらい評判の味だよ。このおいしいイカをいろんな人に食べてもらいたいね」と太鼓判を押す。イカ以外にも地元産の魚を取り扱っており、秋になれば、多くの種類が店頭に並ぶという。

▼2412歩
写真工房で裂織を楽しんでいる大畑裂織サークルの会員たち=地図(4)

 鮮魚店近くの交差点を右に曲がり国道側に戻る途中、民家に「裂織サークル お気軽にお立寄下さい」との看板。中では女性らが談笑していた。古い布を裂くなどして織り直す裂織は独特の風合いや色味が特徴。サークルで借りた工房で、メンバーは20人以上いるという。会長の吉田セツさん(71)は「出来上がりが予想できないのが裂織の魅力」と言い「記事に若い会員募集中って書いてね」と笑いながら念を押された。工房で売っていた裂織のコースターを購入。今日の晩酌に使ってみよう。

▼2908歩
写真大正時代から続くという蛇穴書店と店主の蛇穴さん=地図(5)

 国道を左折し、町内唯一の書店という蛇穴書店へ。大正時代から続いている店で、本や文具を扱う。快く取材に応じてくれた3代目店主の蛇穴俊栄さん(68)は、目の前の商店街を見やりながら「だんだん街の人口が減ってきたなあ。若い人にもっと本に興味を持ってもらえれば」と少し寂しそうだった。確かに街を歩く人の姿は少なかったが、練り歩いてみて住人のあふれる人情味も感じた。たった3千歩でもそれが分かったのがうれしい。