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    ~5000歩の旅~
    三戸町
  • 歴史息づく商人のまち

 「歴史と文化のまち」「商人のまち」-。三戸町にはさまざまな顔がある。8月上旬、「じりじり」という音が聞こえるような強い日差しの中、現在は町の目抜き通りとなっている江戸時代の奥州街道を歩いた。町の西の玄関口だった金堀惣門跡を示す看板からスタートだ。

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▼733歩
写真焼き上がったせんべいを取り出す坂本さん=地図(1)

 同心町を歩くと、左手に見えてきたのは小山田煎餅店。1917(大正6)年に創業した町一番の老舗せんべい店だ。三戸町の南部せんべいは薄さが特徴。食感は「サクサク」だ。3代目店主の小山田美穂(よしお)さん(69)は「『初心忘るべからず』で、今年創業98年。100年まで頑張るのが、まずは目標」とにっこり。勤めて9年目という坂本和子さん(46)は、せんべいを焼きながら「火加減が難しいです。まだまだ修業中」と話す。店を出る時、美穂さんが焼きたてを持たせてくれた。少々行儀は悪いが、かじりながら歩く。「サクサク」。心地よい音が響いた。

▼1597歩
写真「明治天皇御巡幸の図」など貴重な大絵馬を見せてくれた山崎さん=地図(2)

 八日町に入り、通りに面した参道から100段の石段を上ると、三戸大神宮に着いた。禰宜(ねぎ)の山崎貴行さん(47)が所蔵する貴重な大絵馬の数々を見せてくれた。目を引くのは「明治天皇御巡幸の図」。三戸町を訪れた明治天皇の姿を描いたもので、町文化財に指定されている。山崎さんは「気軽に立ち寄って、町や南部藩などの歴史を知ってほしい。新たな観光スポットになればいいですね」とほほ笑んだ。

▼2215歩
写真「11ぴきのねこ」のオリジナルグッズが人気の松伝商店=地図(3)

 目抜き通りに戻り文具、事務用品などを扱う1909(明治42)年創業の老舗・松伝商店に立ち寄った。目当ては同町出身の漫画家・絵本作家の故馬場のぼるさんの代表作「11ぴきのねこ」のオリジナルグッズ。「町は11ぴきのねこにちなんで、まちおこしをしているからね。もっとグッズの種類を増やしたい」と代表取締役の松尾道郎さん(66)は意欲的だ。シールやスタンプ、木製キーホルダーなど、ねこたちのほのぼのとした表情にひかれる。1番人気は名前、誕生日などをレーザー彫りするナンバープレート型ストラップだ。

▼2834歩
写真「これからも母の味を守り続けたい」というきんか堂の相内禎治さん=地図(4)

 丁字路を左折し、二日町へ。県南地方に伝わる菓子きんかもちの「きんか堂」をのぞいた。きんかもちはギョーザに似た小麦粉の生地の中に、黒砂糖やみそなどを混ぜたあんが入る。某有名グルメ漫画に取り上げられたこともあるきんか堂は、相内トミヱさんが始めた店。昨年5月にトミヱさんが亡くなってからは、長男禎治さん(57)が切り盛りする。「黒砂糖、黒ゴマ、クルミを混ぜたあんはうちの店だけ。母の味をこれからも守り続けます」と穏やかな口調で話した。

▼4774歩
写真人気のきんぴらパンとあんかけパンを手にする加藤さん=地図(5)

 ひたすら歩き、アップルドーム駐車場隣にある加藤パン店で一休み。代表の加藤利美さん(66)は「パンは生地を発酵させる時間を含め、出来上がるまで約8時間。手間は掛かるが、焼きたてにはこだわりたい」と話す。看板商品は「きんぴらパン」。具の細切りのニンジン、ゴボウは濃すぎない程よい味付け。あんパンの表面に薄くようかんを掛けた「あんかけパン」も人気だ。

 加藤パンを出て、国道4号方面に向かう。ホームセンター隣に夕暮れの中ひっそりと立つのは、ゴールと決めた馬暦(ばれき)神社。奥州街道の旅人も三戸を出発する際、この神社に旅の安全を願ったはずだ。