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    ~3000歩の旅~
    弘前市土手町
  • 老舗息づく繁華街

 弘前市の中心街として栄えてきた土手町。市内はもとより、近隣の市町村からも買い物客が訪れる繁華街だ。現在は上・中・下の三つの商店街に分かれている。暑さが強まってきた7月中旬、上土手から弘前城方面の下土手に向かって「土手ぶら」した。(秋村有香)

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▼180歩
写真杉見糸店の杉見良逸社長(右)と店長の由美子さん=地図(1)

 ドアが開け放たれ、入りやすそうな雰囲気にふらっと立ち寄った「杉見糸店」は1910(明治43)年創業。店内を紹介してくれた店長の杉見由美子さん(64)は「こぎん刺しの材料を買う観光客が多い。糸の中には小豆島など県外に送って染めてもらうものもある」とこだわりを語る。「元気なうちは続けたい」と、夫の杉見良逸社長と笑顔を見せた。

▼735歩
写真人気のカレー定食を運ぶ店主の川嶋さん=地図(2)

 店を出ると、強い日差しで一気に体力を奪われそうに。とにかく暑い。お昼時だったこともあり、ちょっと戻って、通りの向かい側に見つけた「カレー&コーヒー かわしま」へ。店主の川嶋毅さん(67)と妻のまり子さん(62)、息子の貴裕さん(37)の3人がてきぱきと来客に対応していた。たっぷりのカレーライスにサラダと飲み物が付いた人気メニュー「カレー定食」(税込み千円)を「いただきまーす」。子どもでも食べられる辛さで「うまいっ」。家族連れや学生など幅広く親しまれている。毅さんは貴裕さんとキッチンに立ちながら「店は将来息子に任せる予定」と笑った。

▼1441歩
写真常連客の成田さん(右)と会話を楽しむ「なちゅら。」店主の石岡さん=地図(3)

 交差点を直進し、中土手へ。右手に見える「弘前中央食品市場」には、総菜や鮮魚、果物店など9店舗が軒を連ねる。奥に進むと、石岡貴也さん(38)が営む「ぬくもりキッチン なちゅら。」の看板が。サンドイッチやナポリタンなどのお弁当や人気のプリンが並ぶ。常連の会社員成田龍平さん(23)が「バターが効いておいしい」とオムライスを買いに来ていた。石岡さんは「お客さんと距離が近くて、親しく話ができるのでうれしい」とにっこり。

▼1987歩
写真市まちなか情報センターで勉強の合間に談笑する駒井君(左)と相馬君=地図(4)

 再び通りに出ると、授業を終えた生徒たちの姿が目に付くようになった。市場の向かい側の「市まちなか情報センター」には、勉強のために多くの高校生らが集まっていた。弘前中央高校3年の駒井孝成君(17)と相馬太地君(18)は、大学受験を控えて勉強中。「周りから成績が悪いと思われている」と話す2人だが、「夏前から勉強して差をつけて、ほかの人たちを見返してやるんです」とニヤリ。机に広げた課題に真剣に取り組んでいた。

▼2946歩
写真半分のコントラバスが印象的な喫茶店「万茶ン」=地図(5)

 蓬莱橋を渡り下土手に入ると、そろそろ土手町も終わり。繁華街・鍛冶町に通じるかくみ小路の一角に創業86年の「土手の珈琲屋 万茶ン」がある。作家・太宰治や小説家・石坂洋次郎などが通ったという名店だ。3代目店主の香西宏真さん(55)は「50年来のお客さんもいるから」と創業当時からの味を守り、口当たりが柔らかくなるという布製のネルフィルターでコーヒーを入れ続けている。「86年になったし、100年目指したいね」

 店を出ると、外はほんのり暗くなっていた。かくみ小路にはネオン街・鍛冶町方面に向かう人がちらほら。夜の町はこれからにぎやかになる。