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    ~5000歩の旅~
    今別町
  • 新幹線開業へ街に活気

 来年春に北海道新幹線奥津軽いまべつ駅開業を控え、町全体が活気に満ちている今別町。かつて太宰治が小説「津軽」で「明るく、近代的」と評した港町を歩いた。(澁谷純平)

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▼38歩
写真ままごとをして遊ぶ蘭花ちゃんと母・太田真実さん=地図(1)

 昼前、町役場を出発すると、向かいの中央公民館が大勢の親子連れでにぎわっていた。保育園に入る前の子どもを持つ母親が、情報交換や友だちづくりのために、月1回のペースで集まっているという。

 娘の蘭花(らんか)ちゃん(2)とままごとをして遊んでいた太田真実さん(29)は今年4月、町内に引っ越してきたばかり。「みんなと仲良くなれればと思って初めて参加してみた。娘も楽しそう」と喜んでいた。

▼920歩
写真ウニの身を次々に取り出す山本忠道さん=地図(2)

 太宰も立ち寄ったという本覚寺を左手に通りを進み、緩やかな坂を下ると海が見えてきた。

 海沿いには漁師の作業小屋が立ち並ぶ。山本忠道さん(63)はムラサキウニの殻むき作業の真っ最中。殻を割ったウニの身を柄の長いスプーンを使って、手際よく取り出している。

 「食べてみて」と差し出してくれたウニを口に運ぶと、濃厚な甘さが口の中に広がる。「すし屋や食卓に並ぶころには塩気が抜けてもっと甘くなる」と山本さん。ウニの水揚げはお盆前まで続くという。

▼967歩
写真ねぶた制作のため集まった(右から)阿部節三さんと洋子さん、中嶋和枝さんと惠さん=地図(3)

 漁港近くのねぶた小屋をのぞいてみた。今別ねぶた実行委員会のメンバーが8月の荒馬(あらま)まつりでの運行に向けて、紙張り作業をしていた。この日集まったのは、阿部節三さん(67)と洋子さん(65)、中嶋惠さん(65)と和枝さん(58)の夫婦2組。早朝から午後3時くらいまで毎日作業をしているという。

 「若い人が少なくなって、制作も運行も大変」と節三さん。「でも、新幹線で町が盛り上がっているから、自分たちもねぶたで活性化に貢献したい」と力を込めた。

▼2099歩
写真おしゃべりしながら下校する澤田晃希君(左)と加藤壱弥君=地図(4)

 夕暮れどき、津軽浜名駅を過ぎ、青森北高校今別校舎の辺りにさしかかると、仲良く下校する3年澤田晃希君(18)と2年加藤壱弥君(16)に出会った。2人はフェンシング部の先輩と後輩の関係。加藤君の首にはサポーターが。気になって聞いてみると、「授業中に首を捻挫しました。勉強のしすぎですね」と、笑いながら答えてくれた。

▼4363歩
写真お店を一人で切り盛りする藤田みや子さん。手に持つのは今別の海産物をふんだんに使った刺し身定食=地図(5)

 今別バイパスから住宅街に入り10分ほど歩くと「寿し長」に到着。笑顔で出迎えてくれた店主の藤田みや子さん(67)に「お薦めのものを」と注文。しばらく待って出てきたのは、今別産のホタテやイカを使った刺し身定食。「ちょうど新鮮なホタテを仕入れたので」と藤田さん。ホタテは肉厚でうま味も抜群で、あっという間に完食。

 藤田さんに見送られ店を出ると、すっかり日が沈んでいた。駐車していた車を取りに戻った町役場の前では、二宮金次郎像が薄明かりを頼りに本を読んでいた。蛍雪の功-、自分も頑張ろうと誓いを新たにしながら家路を急いだ。