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    ~6000歩の旅~
    階上町
  • 笑顔生む自然の恵み

 昨年、延べ約7万6千人の登山客が訪れた階上岳(標高739.6メートル)、そして三陸海岸の豊かな漁場…。晴天の下、普段の運動不足に不安を感じつつ、自然あふれる魅力たっぷりの階上町を巡った。(本田海輝)

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写真「階上早生」のそばを打つ沼沢さん=地図(1)

 スタートは道の駅「はしかみ」。ガラス張りの一室をのぞいてみると、沼沢則子さん(57)が町発祥のソバ品種「階上早生(わせ)」のそば打ちにいそしんでいた。こねて、延ばして、切る。職人の手さばきは滑らか。「階上のそばはおいしいよ!」の一言に早速、月見天ぷらそばを注文。粘り気が強く香りもいい。あっと言う間に平らげ充電完了。午後1時、ようやく一歩を踏み出した。

▼1592歩
写真沿道の花壇に花を植える「ホープフルのぎく園」の利用者ら=地図(2)

 右手に階上岳を望みながら町役場を過ぎると沿道で、障がい福祉サービス事業所「ホープフルのぎく園」の利用者らが花壇に花を植えていた。赤や黄など4色のマリーゴールド…。「きれいな花を、通行人にぜひ見てほしい」と大坂龍弥さん(26)。見ごろは7月上旬とのこと。

 程なくして左に折れ、海を目指し農道を突き進む。「ピーピー」「ピロピロ」「ホーホケキョ」。あちらこちらから聞こえる鳥のさえずりが心地いい。濃さを増した緑を眺めながら、民家が見えたころには3500歩を超えていた。

▼4436歩
写真仲良し3人組の(右から)石沢さん、鹿倉さん、續石さん=地図(3)

 2013年に改築されたばかりの階上駅前で、笑顔あふれる女子高生3人と出会った。石沢美沙希(いしざわみさき)さん(15)、鹿倉梢(かくらこずえ)さん(16)、續石悠海(つづくいしゆうか)さん(15)=いずれも階上町在住、岩手県種市高校1年。小、中学校からの友人で、列車での通学はいつも一緒の仲良し3人組。バスケットボール仲間で母校・道仏中へ遊びに行く途中、駅で待ち合わせていたという。入学して2カ月半ほどたつ高校生活にも慣れ「毎日楽しい」と口をそろえ、にっこり。

▼5021歩
写真じっと大物を待つ竹本さん=地図(4)

 駅を出て潮風を浴びながら海岸沿いを歩くと、小舟渡漁港近くの岩場からサングラスを掛けた男性がひょっこり姿を現した。竹本正志さん(67)だ。定年退職してからは「ストレス解消と暇つぶし」で、趣味の釣りを思う存分に楽しんでいる。長さ5メートルはあろうさおを力強く振って仕掛けを遠くへ飛ばし、じっとさお先を見つめ大物を待つ。

 「かかった!」。勢いよく立ち上がり、素早くリールを巻く。これはシャッターチャンス-と期待を膨らませると、針にはうらめしそうにヒトデが…。午後4時半すぎ、潮の流れがまだ鈍い。「きょうはダメだな」。この日は不調だったが、毎年40センチを超えるアイナメを釣り上げるという。

▼5962歩
写真夕日に照らされる階上灯台=地図(5)

 疲れがピークに達したころ、県内最東端で最も早く朝日が昇る場所、階上灯台へ着いた。真っ白な灯台が夕日に照らされ始めた。ベンチに腰掛け眺める太平洋の景色は、一日の疲れを癒やしてくれる。さあ、帰ろう。気がつくと靴下が擦れて、かかとに穴が開いていた。