• 5
    ~5000歩の旅~
    深浦町
  • 景色の良さ 住民の誇り

 春爛漫(らんまん)と呼ぶにふさわしい4月下旬の平日午前、陽気に誘われ深浦町の中心部に繰り出した。

 町役場から北に歩き国道101号に並行するJR五能線の役場前踏切を渡るといきなり急勾配の坂。50歳手前、運動不足の身には少しつらい。股(もも)や膝が悲鳴を上げそうだ。少し汗ばんできた。(本間善幸)

マップクリックすると大きな地図が開きます
 
▼1745歩
写真お得意様に配達の途中という藤森さん。手に持つのはキャベツの苗=地図(1)

 坂の上が岡町。住宅街を10分ほど南へ。するとまた坂がある。気合を入れ直し登った先は奉行所があった御仮屋跡。以前、気象台が置かれていた。見晴らしが良く、潮風が爽やかだ。

 来た道を戻ると、手にレジ袋を二つ持った藤森つよのさん(77)を見掛けた。袋の中身はキャベツの苗。食料品店を営んでおり、配達の途中だという。「私の名前、珍しいでしょう。強くなりなさい、という意味です」。会話が弾む。

写真農作業の合間に休憩、気持ち良さそうに日なたぼっこする三ツ井さん=地図(2)

 藤森さんと別れて3分もしないうちに庭で日なたぼっこする三ツ井博さん(77)に呼び止められた。畑仕事の合間の一休みだという。「買って食べた方が安上がりなんだけど。何かやらないと体力が落ちるから。まあ晴耕雨読です」と三ツ井さん。5月にはキュウリの実がなるという。

▼2026歩
写真万年坂の途中から見下ろした深浦町。景色の良さは地元・岡町の誇りだという=地図(3)

 高台の岡町を後に今度は万年坂を下り海を目指す。途中、ぱっと視界が開けた。景色の良さは地元住民の自慢だという。ついこの間まで一面鈍(にび)色に覆われていた町並みが今、嘘(うそ)のように輝いている。

▼2728歩

 国道101号沿いの深浦港に面した夕陽公園で、釣り人を発見した。近づくと既に帰り支度をしていた。午前6時に秋田県能代市を出てきたという松岡栄一さん(82)。「雪解け水で川の水が真っ黒なのでこっちまで足を伸ばしてみた。でも今日は(釣果)ゼロ。まあドライブに来たようなもの」と苦笑いする。

▼3641歩
写真きっぷの良いおかみとして知られる宮本さん=地図(4)

 公園から再び国道101号に戻り、浜町商店街を西へ道なりに進み、磯崎川を過ぎると古刹(こさつ)・圓覺寺(えんがくじ)。向かいにはこみせ風のしゃれた建物がある。中は三つに仕切られるが営業中は「かまど屋」だけ。店主の宮本千恵子さん(67)がとにかく気っぷが良い。「今年はかき氷の注文が早い。うちのはうまいよ」

▼4626歩
写真新作のタレが人気のマグロステーキ丼。お昼時の店には次々と来客があった=地図(5)

 時計は12時半。腹が鳴る。海岸沿いを10分ほど歩いて食堂「サンセットハウス」に到着した。人気の「深浦マグロステーキ丼(マグステ丼)」を注文。両面焼きのマグロに新作タレのバーベキュー味が良く合う。「タレの味が良かった」と黒石市から訪れた若いカップルの口元がほころびた。店主の中川妙子さんは「マグステ丼や(観光情報パンフの)深浦じゃらんの効果で見慣れないお客さんが増えた」と手応えを語った。

 店を出てすぐ近くの岡崎海岸へ。波の音が耳に優しい。青空がどこまでも広がる。ふと眠気が…。ことわざに言う「腹の皮張れば、目の皮たるむ」。帰り道を急いだ。