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    ~5000歩の旅~
    五戸町
  • 息づく職人かたぎ

 地元の風景や町並みを若者の視点で切り取ろうと、五戸町の五戸高校生が昨年秋、オリジナルの街歩きマップを作製した。コースの中心は江戸末期から明治にかけて古き良き風情が残る川原町。穏やかな4月中旬の昼、マップを参考に、歩数計を持ち5千歩の散歩へ飛び出した。(山崎光弘)

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写真奥手の八幡坂から五戸高校前まで続く、通称「八幡通り」の桜並木=地図(1)

 出発点は同校裏の八幡宮。八幡坂から同校前を通る「八幡通り」はかつて、観桜会が開かれ、花見の名所として親しまれた。一度朽ちたが、1998年に苗木70本が植樹され、春には再び桜並木が生徒や住民の目を楽しませている。

 近くで草刈り中の女性(65)と出会った。同校卒業生と言う。「花見会場からにぎやかな歌声が聞こえると、ソワソワしちゃって。授業どころではなかった」と懐かしむ。

▼952歩
写真得意のポーズを取る江渡幼稚園の園児たち=地図(2)

 通りを進むと、子どもらの歓声が響き渡る。創立40年の江渡幼稚園は新入園児を迎えたばかり。園庭で遊具や駆けっこなどを思い思いに楽しんでいる。「ジャングルジムは怖くないよ。大きくなったら仮面ライダーになるんだもん」。年長の塩月拓翔(たくと)ちゃん(5)は、得意のポーズで「ヤーッ」。

 園の向かいには創業105年の菊駒酒造の工場がある。豊川一人さん(39)が瓶詰め前に酒瓶を洗っていた。この日は720ミリリットル瓶を1200本。「きょうみたいに天気がいいと、作業もはかどる」と汗をぬぐう。

▼2169歩
写真木を使ったアクセサリーや雑貨などを手掛ける三浦孝之さん=地図(3)

 突き当たりを右に折れ、川原町のメーンストリートを歩くと、古材を生かした家具や雑貨を製造・販売する「laula(ラウ・ラ)」に出合う。笑顔がすてきな店主の三浦孝之さん(40)は祖父が宮大工、父は建具屋。癒やし感あふれるハワイアン風の店内で「心地いい生活のためのパーツや、空気感を売っています」。

写真105年の伝統を引き継ぐ菊駒酒造の三浦弘文さん=地図(4)

 通りをUターンすると菊駒酒造の事務所がどっしり構える。事務所内の色紙には「酒造一念 銘柄萬年」の文字。三浦弘文社長(34)は「家訓ですかね。酒造りの長い歴史の中で私らは中継ぎでしかない。しっかりとした酒を造って次の世代につなげたい」ときっぱり。

▼3424歩
写真老舗せんべい店を営む福田馨さん(右)一家。塗りごませんべいは高校生にも人気=地図(5)

 五戸川に架かる五戸橋を越えた場所に、高校生が「うまい!!」と絶賛する「福義せんべい店」がある。4代目店主の福田馨さん(80)が家族と作るせんべいは「塗りごま」や「みみ」など全9種類。「高校生も放課後によく買いに来ますよ」とほほえむ。

▼5024歩

 マップでは堀合の坂を上りきった町図書館がゴールだが、5千歩に至らないのでもう少し歩くことに。中心商店街を横切り、古いたたずまいの店が連なる新町を過ぎ、愛宕丁(あたごちょう)の坂を上った所に立場(たてば)児童公園がある。西日に当たって園地に長い影を落とすのは二十数本のソメイヨシノ。満開のサクラが地域住民を喜ばせてくれる日まであとわずかだ。